9割の「幕の内弁当」と1割の「フォアグラ」
2020年9月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今、花本さん(仮名)という『お客様』がおられます。
花本さんは長年個別株投資を行ってきましたが、
成績が芳しくありません。
10銘柄くらいの中で、
どうしても持っていたいのです・・。
株主優待があってとても助かっているんです。」
と言われます。
なるほど・・。
では、E社とH社は持ち続けてよいと思いますよ。
残りの8銘柄は時間をかけて
インデックスファンドに「お引っ越し」してまいりましょう。
また資産管理をシンプルにするために、
E社とH社は、
花本さんの『ポケットマネー』と捉えたほうが賢明でしょう。
(つまり「別枠の資産」と認識するのです・・)
「カンさん、そんな感じでいいの?」
はい、そんな感じでいいのです (^^;)
なるだけ現実的なカウンセリングを実施するよう、
日々心掛けています。
もちろん資産管理に『シンプルさ』を求めることは重要です。
シンプルさは、続けやすさと兄弟ですから・・。
別の事例)
水田さん(仮名)は「持ち株会」で悩んでいます。
入社以来、自社株を積み立ててきて、
結構な株数になっています。
「資産全体で見ると、やっぱり持ち株の比率が高いんです」
はい、たしかに・・。
今、いくら積み立てていますか?
「毎月1.5万円、ボーナス時6万円です。」
↑これでも額を減らしました)
「でもカンさん。持ち株会では会社から10%の補助が付くんですよ。」
スゴイですね。でも、20%の補助が付く会社もありますよ。
「??」
(経営陣にとってみれば)
安定株主の育成コストとしては「安い」ものなのです。
自分が定期的収入を得ている「会社(1社)」の個別株を買うということ。
リスクが重なると思いませんか?
仮に水田さんが毎月のつみたてを止めても、
社内での水田さんの『お立場』に影響がないなら、
とりあえず『積み立て』を休止しましょう。
そして、
できれば、少しずつ(時間をかけて)株式を売っていきましょう。
これは、自社株を売るのが目的ではなく、
『資産のお引っ越し』が目的ですよ。
自社株・・ ⇒ ・・インデックスファンド
最低限、水田さんが
「これくらいは、自分の会社の株を持っておきたい。」
という部分があれば、
それは『ポートフォリオの一部』ではなく、
『ポケットマネー』と捉えたほうがよいでしょう。
つまり、です。
花本さんも、水田さんの例も、
資産管理というものは、
1割は【楽しみ】の部分があってもよい。ということです。
(今はたまたま個別株、自社株でしたが、楽しみはプラチナだったり、マザーズのETFだったり、イーサリアムだったり、南アフリカランド(FX)だったりするわけです。)
でも(10%だけ)『フォアグラ』を食す・・。
上記は上記で、立派に『効用』があるとわたしは考えます。
それは・・
1割の『楽しみ』があることで、
『退屈な』9割が続けやすくなる、ということ。
アドバイザーとして何より重視するのは、
退屈な資産運用を
いかに『続けられそう・・』と思っていただけるか。
この実現のためには compromise(妥協)も必要なのです。
カテゴリ:わたしのFP修行