インデックス投資全般

インデックスファンドの乗り換えを実施する「目安」は?

2020年9月6日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

よりコストが安い『インデックスファンド』が目の前に存在するなら、積み立て先をそのファンドに換えよう!

 

そういうお気持ち、よーく分かります。

実際、上記を実践している人も多いと思います。



が、これは厳密な意味での
ファンドの『乗り換え』ではありません。


 

当クリニックが考える『投資信託の乗り換え』とは?

資産ベースで「既存のファンド」を売却し、
その資産ベースで「新たなファンド」を購入し、
かつ、毎月ベースでも「新たなファンド」を積み立てていく行為を指します。

 

 

 




 


では、「インデックスファンドの乗り換え」をするか否かに、何か【目安】のようなものはあるのでしょうか?

答え)あります。

 

ここでは『先進国株式インデックス・ファンド』を
例に挙げてみましょう。

(※ 以下、運用管理費用以外の
「その他コスト」は双方ともかからないと仮定します。)

 

Aファンド 運用管理費用 0.6%
Bファンド 運用管理費用 0.1% としましょう。

 


あなたはこれまでずっと「Aファンド」を積み立ててきました。

このたび
よりコストが安い「Bファンド」に、積み立て先だけでなく、

これまで「積み上げてきた」資産部分も、
乗り換えてしまうかどうかで悩んでいます。




Aファンド(運用管理費用 0.6%)で運用を続けてきて、
すでに運用資産額が1000万円まで膨らんでいるとしましょう。

 

年間で支払う運用管理費用は?
およそ『6万円』です。



(※ 簡易計算しています。
実際はファンド価格はアップダウンするため、年間で支払う運用管理費用はブレてきます)

 



仮にBファンド(運用管理費用 0.1%)で
1,000万円ベースの運用を続けているとすると?

 


年間で支払う運用管理費用は
およそ『1万円』で済みます。


(※ こちらも簡易計算。)




『1,000万円』ベースの運用資産額で見た場合、

Aファンド、Bファンド
両者の「けいぞくコストの違い」は、年間およそ『5万円』になります。

 

仮にこれから先10年間、
このコストの違いが続くと・・?

『50万円』の違いになります。

 

 

20年続けば? 『100万円』ですね。

 

 

こうなると、

 

1,000万円まで積み上がったAファンドをすべて売って、
Bファンドにすべて乗り換えたほうがよいのでは?
という気持ちが募ってきます。

 

 

でもその前に、深呼吸してみましょう。






もうひとつ重要な点は、
「Aファンド」にいくら『利益』が乗っているかのチェックです。



以下、あくまで『一例』です。)



Aファンドの運用資産額1,000万円のうち、
650万円が元本で
350万円が【利益】だとすると、

 

今、Aファンドをすべて売ると、
350万円に対して 20.315%が課税されます。

 

税金額は・・?)

約71.1万円


 

 

 

 

仮にAファンドからBファンドにすべて乗り換え、
向こう20年は(Bファンドで)運用を続けるなら、

今の例で言えば、

〇 「支払う税金額」(マイナス約71.1万円)よりも、

〇 向こう20年間の
「けいぞくコストの差」(プラス約100万円)のほうが大きくなります。

 


したがって、この場合は、
「Aファンド」から「Bファンド」に乗り換えたほうがよいでしょう。

 

 

※ ただし、ご注意!

上例では、これまで積み上げた運用資産額『1000万円』という資産ベースのみに注目しています。

 

あなたはこれから先も、
つみたて投資を続け、
『運用資産額』はさらに積み上がっていくわけです。

 

仮にこれから10年、

例えば月5万円のつみたて投資を、Aファンドではなく『Bファンド』で行った場合、

 

5万円×12ヶ月×10年 = 600万円分 についても、
より低い運用管理費用という便益を享受できるわけで、

本当はBファンドに乗り換える『メリット』はさらに大きくなります。



 

 


次に、乗り換えの具体的なやり方ですが、

『Aファンド』から『Bファンド』への乗り換えが、

「同じ投資対象」であれば、
「同じリスク量」を負うことになりますから、

エイヤーと「一度」に、売って→買って を行って構わないわけです。


最後に、乗り換えるべきか否かの「目安」は以下の通りです。

 

1.よりコストが安いインデックスファンドに乗り換えたとして、
これから先「何年くらい」運用を続けるのか?

2.今の運用資産額(ストックベース)で
より低コストのファンドに乗り換えた場合の
「けいぞくコストの違い」を算出(※ 運用可能年数分。)

3.すでに積み上がったインデックスファンドの、
現時点での利益と一括売却した場合の「税金額」を算出

4. 3.より2.のほうが数字が大きければ「乗り換え」をお勧めします。
また、たとえ 3 = 2、あるいは 3 > 2 でも、これから先毎月つみたて投資を続け、積立期間がおおむね10年超あるなら、「乗り換え」を実施する合理性は十分あります。

 


もちろん、まだ投資ビギナーの人は、
保有するファンドの「利益」もさほど大きくなく、

これから先の「運用期間」も十分に長いため、
『乗り換えをする』という方向性で問題ありません!

 

 

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