リタイアメント5年前の皆さんへ。→ ポートフォリオを規則的に「保守化」しませんか?
2020年9月1日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ときに投資信託を持つリスクは過剰ですらあります。
(今でも時々、この3月の『暴落』を思い出します)
ほんとうに株式ファンドはマイナス30%になったのです。
このような大きなリスクに
どうして耐えることが出来るのか?
理由のひとつは、
あなたが「仕事」を持っているからでしょう。
「定期的収入」が確保されているからこそ、
人はそこそこ大きなリスクを背負えるのでは?
たとえファンド価格がマイナス30%になっても、
今月もきちんと『収入』が入っていれば、
投資信託は放ったらかしにすることが可能です。
ところが、
あなたもわたしも、
いつか仕事を辞めることになります。
もしあなたが、
5年後に『リタイアメント』を控えているなら、
たとえ世界の株式市場が絶好調であっても、
老後の生活にふさわしい
「安全資産:リスク資産の割合」に移行を図るべきでしょう。
なにしろリタイアした後は、
公的年金が主な収入源となり、
給与もボーナスもなくなってしまうわけですから・・。
横田さん(仮名)は今年60歳です。
65歳になるまでは再雇用で働こうと思っています。
でも65歳になれば『完全リタイア』の予定。
以下、あなたがイメージしやすいように、
あえてマネー状況は単純化しています。
安全資産(預金) 20%
リスク資産(バランスファンド)80%
毎月残るお金 10万円/月
安全資産(預金) 20%
リスク資産(バランスファンド)80%
けっこう大きなリスクを背負っていますね。
横田さん自身、今の状態で65歳を迎えるのは
得策ではないと考えています。
さあ、横田さん。
今はクルマにたとえれば、アクセル全開の状態です。
「ここからは、あえてアクセルを緩め始めませんか?」
幸い完全リタイアまではあと5年間ありますから、
難しく考えず、規則的に「安全資産」の割合を増やしていくのです。
以下、あくまで一例ですが、
毎年安全資産の割合を「6%」ずつ増やしていくことにしました。
安全資産 26%
リスク資産 74%
62歳)
安全資産 32%
リスク資産 68%
63歳)
安全資産 38%
リスク資産 62%
64歳)
安全資産 44%
リスク資産 56%
65歳)
安全資産 50%
リスク資産 50%
これを達成するには?
61歳から65歳になるまで、
規則的、断続的にリスク資産(バランスファンド)を売っていく必要があります。
(※ネット証券の「投資信託・定期売却サービス」を使っても構いません)
株価がすごく上がっていても、
わざわざリスク資産の割合を下げていくのですか?」
はい、その通りです。
横田さんは(金融市場の動向とは関係なく)
自らの意思でアクセルを緩め、
背中に背負うリスク量を減じていくわけです。
明確に少しずつブレーキを踏むのだと意識しましょう。
なぜなら、
横田さんが65歳で完全リタイアするのは『確定事項』だからです。
(いっぽう金融市場の動きは? 「不・確定事項」ですね)
ただし、現役時代から
投資信託を大きく売却することに抵抗がおありなら、
今すぐ止めることを優先させても構いません。
毎月残るお金 10万円/月)
安全資産(預金) 20%
リスク資産(バランスファンド)80%
でしたね。
上記つみたて投資を今止めれば、
あと5年で「預金額」が自然と増えていきます。
月10万円、年間120万円、5年でプラス600万円です。
それでも65歳時、資産ベースで
安全資産 50%
リスク資産 50%
に持っていくためには、
やはり計画的に投資信託を売り続ける必要があります。
はっきり申し上げて、
株式市場が高騰するときにも
あえてアクセルを緩め、ブレーキを踏むことはかなり「高度な技」であります。
また、横田さん的には、
安全資産 50%
リスク資産 50%
に持っていく「資産配分」は
やや保守的に映るかもしれません。
しかし横田さん。
人生時間は年々長くなっています・・。
60歳時に想起する
安全資産 50%
リスク資産 50%
は保守的に見えるかもしれませんが、
74歳の横田さん、
あるいは82歳の横田さんが、
安全資産 50%
リスク資産 50%
の『資産配分』をキープされることはアグレッシブに映りますね。
そして(実のところ)、わたしはそれをアグレッシブとは思わないのです。
それほど「長く生きるリスク」は、
パーソナルファイナンスにとって新種の現象なのです。
カテゴリ:ポートフォリオ運用, リタイアメント・資産の取り崩し