金融機関にモノ申す

バンガードが日本から撤退。投資家が留意すべきこと

2020年8月27日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

日経新聞の記事より。
米運用大手バンガード、香港・日本撤退 中国本土に注力

バンガード社が日本から撤退するというのは
突然のニュースでしたが、
わたし個人としては頷ける部分もありました。

要は、日本でも香港でも、

バンガード社が掲げる
圧倒的に継続コストが低い、
ETF、インデックスファンドに対する潜在ニーズが

(思ったより)少なかった。ということなのでしょう。


今のところ、
バンガード・インベストメンツ・ジャパン」の公式サイトには、

撤退に関するリリースが見当たりませんので、
以下(あくまで)わたくし個人の推察に過ぎません。

事実と異なる可能性もありますので、この点くれぐれもご留意くださいませ。

 

【追記】2020.08.28
バンガード・インベストメンツ・ジャパンからリリースが発表されました。
当社の営業活動終了のお知らせ

(以下記事内容、ほぼ事実に即しているようです)

 

1.セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド、
楽天・バンガード・ファンドなど、
バンガード社のETF、インデックスファンドを内包した国内設定の投資信託については、

バンガード社とファンド運用会社の取り決め(契約)が存続する限り、
ファンドの運用は問題なく継続されると思われます。

バンガード社の商品を組み入れた
『国内籍投資信託』の一覧についてはコチラでご確認ください。


ここでは
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」を例に挙げますが、

バンガード社は「セゾン・バンガードGBF」という投資信託の「材料」を、
セゾン投信に卸している存在であり、当該ファンドの直接の運用会社ではありません。

(セゾン・バンガードGBFの運用会社はあくまでセゾン投信。)

したがって、バンガード社が
セゾン投信に商品を卸すことを拒まない限り(=現状の関係が継続する限り)、
ファンドの存続性に問題はないと思われます。

(※但し法令ルールは遵守し続ける必要あり)

 

【追記】2020.08.29

セゾン投信がリリースを出しています。
バンガード社の日本拠点における活動中止について

「楽天・バンガード・ファンド」シリーズを運用する
楽天投信投資顧問もリリースを出しています。
バンガード社の日本拠点における活動中止について

 

 

2.バンガードのETFについて。

バンガードのETFは主に米国市場に上場する銘柄であって、
その取引は日本国内の証券会社が取り次いでおり、
この先ETFの売買機会が損なわれる可能性はないと思われます。

ただし、バンガードが日本から撤退するということは、
バンガード・インベストメンツ・ジャパンも解散することになり、

これまで提供されてきた、
日本語サイトでの「日本語による情報提供」が
遅かれ早かれ為されなくなる可能性が大と思われます。


たとえばこのような日本語の情報です。
VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)

 



 

冒頭の日経新聞記事には次のような記述があります。

バンガードは香港市場からの撤退について、
低コストの投資信託を提供するのに
十分な事業規模を得られなかった、と説明する。

香港市場に上場する上場投資信託(ETF)や、
退職積立金向け商品の取り扱いも段階的に中止する。


香港市場に上場するバンガードのETF(一覧はコチラ)については、
順次繰上げ償還 → 上場廃止の可能性があると考えられます。

(ご所有の方は早めに売却されることをお勧めいたします)


後年、今を振り返って、

むかし、バンガードという会社があってね、
日本のインデックス投資黎明期に
日本人に多大な影響を与えたんだよ。」と回想されることになるのでしょうか。

 

なにか初恋の人に立ち去られるようで
もの悲しい気分ではありますが、
日本のインデックス投資事情は「新たな段階」に入ったとも云えます。

(また続報が入りましたら、お伝えしたいと思います。)

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