どうして投資信託の『純資産残高』はぐんぐん伸びていかないのか?(マクロの投資信託)
2020年8月23日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
普段は気にしていませんが、
7ヵ月に1回くらい投資信託協会のサイトを見ます。
同協会のコンテンツ
「数字で見る投資信託」をチェックするためです。
「数字で見る投資信託」(2020年7月末)の中で
わたしが注目するのはコチラです。
総合計(公募投信全体)
119 兆 9,994 億円(5,931 本)
投資信託の本数(5,931本)は
一時より減ってきています。
これは新発売のファンドが減ったためでしょう。
購入時手数料で稼ごうという
あこぎな業者が減っているという証左ですから。
次に119 兆 9,994 億円とありますが、
これは本年7月末現在の
公募投資信託の『純資産残高』です。
たしか、100兆円を突破したのが2015年ですから、そんなに劇的には増えていません。
「Why(なぜ)?」
ネット証券の口座開設数もうなぎ上りで
インデックスファンドの人気度も上がっているし。
確定拠出年金の利用者は3月末現在でなんと880万人弱!
(企業型・確定拠出年金 723.1万人。
個人型・確定拠出年金156.3万人もいるよ。)
投資信託に触れる人、
実際にファンドを購入する人は着実に増えているのに、
投信の『純資産残高』の伸びは・かなり・ゆるやか。
「これってなぜ?」
ちょっと遠くに離れて
『マクロ的』に捉えてみる必要がありそうです。
おそらく答えは・・、
投信を解約しているためです。
あなたもわたしもシニアになれば、
手持ちの投資信託を少しずつ解約していくことになります。)
日本の投資信託事情は少々いびつです。
これまでファンド最大の保有者は
「シニアの人たち」でした。
当然、その『解約の影響度』は大きくなります。
投信を買っている人は(もちろん)増え続けていますが、
それに負けないくらい
投信をコンスタントに解約する人たちもいるのです。
そもそもファンドの保有者が、
若年層からシニアまで幅広くばらけていればよいのですが、
(※ 保有金額も含めて。)
日本はこれまで「そうはなっていませんでした。」
今、そのツケを払わされているのです。
振り返ってみますと、
資産形成の途上にいる30代、40代の生活者がファンド保有者として、投資信託の販売会社に手厚く扱われ、大切にされてきたという痕跡は、(残念ながら)ほとんど確認できません・・。
現役世代の投資信託の『保有割合』が大きくなり、
シニアのそれを抜くにはまだ相当の時間がかかることでしょう。
しかし、それは(いつか)必ず訪れるのです。
おまけ)
「数字で見る投資信託」の中には、
アメリカの投資信託の『純資産残高』も載っています。
3月末時点で「22 兆 5,202 億ドル」
1ドル100円で計算しても、2252兆円!!
日本は・・ 119 兆円ですよ。
カテゴリ:投資信託あれこれ