金融機関にモノ申す

ウェルズ・ファーゴ銀行の不正営業問題は、対岸の火事ではありません

2020年8月9日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今年2月22日の日経新聞の記事より。
米銀行ウェルズ・ファーゴ、不正営業で制裁金3300億円

 

ウェルズ・ファーゴは
全米でもっとも店舗数が多い大手銀行です。

その歴史は19世紀、馬車を用いた宅配業にまで遡ります。
(宅配に併せて、送金、貯金などの金融業務も始めたのです)

 

 

 

 


上記記事は同行の不正営業に関連して、
ウェルズ・ファーゴが米司法省に約25億ドル、
米証券取引委員会(SEC)に約5億ドルの制裁金を支払うことで合意したと伝えています。

 

「何ですか、その不正営業って?」

 

 


ウェルズ・ファーゴ銀行では
2002年から2016年にかけて、
顧客に無断で口座やクレジットカードを作るという不正行為が行われていました。

同行の従業員が厳しいノルマを達成するために行ったとされます。
(アメリカの銀行にも「ノルマ」があるのですね)




以下、
東洋経済オンラインのこちらの記事から引用してみましょう。

顧客に無断で開いた口座は200万口座にも上り、
無断で作成したクレジットカードは56万枚、
二重に加入させた自動車保険は57万件とされる。

(中略)

リテール金融は、ロットが小さく手間がそこそこかかる。
低金利環境下では、貸し出しだけをやっていても儲からない。

 

このため、ウェルズ・ファーゴでは、
1人の顧客にいくつもの金融商品やサービスを販売する
「クロスセル数」を経営目標とし、

最低8つの商品を販売するという支店目標も設定されていた。

 


・・最低8つの商品ですか。

 



この記事をなぜ今日取り上げているかというと、
日本の金融機関でも

一人の顧客にいくつもの金融商品やサービスを販売する「クロスセル」を、今後本格的に展開していく可能性があるためです。

 

 

 


これまでにも、

証券会社で「保険商品」が売られたり、
銀行で「投資商品」が積極的に紹介されたりということは頻繁に行われてきました。

 

ただ、これから先は
(まだ誰も見たことがない)金融機関同士の
熾烈な【生き残り戦】が展開されると予想します。



端的に申し上げて、

金融機関側の、
人員そして商品サービスが、供給過多になっているためです。

 

 



 

それに加え、

・ゼロ金利の常態化
銀行は利ザヤを稼げなくなっている

証券会社は(利回りのゼロ化で)
元本確保型の商品に顧客を誘導しにくくなっている



・金融業界伝統の「対面」「訪問」という営業スタイルが、
新型コロナウイルスの影響で岐路に立たされている

などの問題を抱えています。

 

 

そもそも多くの従業員を抱え、大きな店舗を構え、
『焼き畑農業的にビジネスを展開するスタイル』は、とうに賞味期限を迎えているのではないでしょうか。

 

 

またこれからは、
「総合金融サービス」と称して、

保険代理店も、
宅建業者(不動産)も、
金融仲介業も兼ねているサービス会社が増え、

 

それこそ、

豪ドル建て終身保険
川口市のワンルームマンション
南アフリカランド建て債券
グローバルエクセレントAIファンドなどを、

一斉にすべてパッケージで勧めてくる・・
ということも起こり得るわけです。

 

 



 

いっぽう、
需要側の私たち消費者の立場から申し上げると、

手数料収入(コミッション)を目当てに
できるだけ手広く金融商品を揃えるという発想そのものが時代錯誤と言わざるを得ません。



わたしは向こう10年で、
地銀、信金、信組、中堅生保、そして中小の証券会社などは半減すると考えます。

今までがあまりに多すぎたのです。

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