確定的に5%ではなくて、期待平均的に5%なのです
2020年5月30日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
私たちはどうしても、
「お金が減る」「損失!」という現象に過剰反応してしまいます。
それは、これまでの生活の中で
お金は減らない(マイナスにはならない)状態に慣れ切ってきたせいでしょう。
かく言うわたしも、
30年間「貯金」という箱の中にのみ、お金を預けてきた一人です・・。
郵便局、大好きでした。
投資に興味を持ち始めたお客様によく、
「カンさん、この投資信託は
どのくらいのリターンがあるんでしょう?」と質問されます。
より具体的には、
どんなイメージでお金が増えていくのでしょうか?」という質問です。
運用という『習い』がないと、
見ようとする視野がどうしても「片方」になりがちです。
すなわち「増え方」についての質問はあっても、
「減り方」を問うてみることがないわけです。
それを助長したのが、
たとえば「ノーロード型のインデックスファンド」で、こんなイメージでお金は増えていきます・・という、
かつてのわたしの『間違った説明』だったりします(-_-;)
下記たいへん恥ずかしいのですが、
実は拙著で載せた図です。
(拙著「積立て投資術」より)
こういう図表はあたかも
「確定された」「約束通りの」プロセスで、お金が着実に増えていく・・、そういう印象を与えてしまいがちです。
(勿論大きな損失もなく・・)
順調に年5%ずつ資産が増えていくことはあり得ません!
『確定的に5%ではなく、期待平均的に5%なのです。』
それも、
山あり谷あり長い時間軸を持ってはじめて
期待リターン(プラス)が浮上してくるもの。
10年~20年のタームで
リターンが平均に収斂するという意味での「5%」を、ほんとうは図表化すべきなのです。
さて、山あり谷あり
すなわち市場における『アップダウン』とは、
(一例として)経済のサイクル変動が、
株式、債券市場に「不定期に」「まったく違った容量」で影響を及ぼすことです。
これがリスク(価格変動のブレ幅)なのです。
ところが(実は)
『不確実性』とは
(上記リスクとは)まったく意味合いが異なるのだそう・・。
ニッセイ基礎研究所のこちらの記事によりますと、
不確実性という概念が定義されたのは、
100年ほど前に『スペイン風邪』が流行した頃らしいです。
米経済学者のフランク・ナイトが
1921年の著書『Risk, Uncertainty and Profit』
(リスク、不確実性および利潤)において、
リスクと不確実性について明確に区別した。
(中略)
リスクは先験的または統計的に計量可能であるのに対し、
不確実性は計量できない。
・・なるほど。
今回の新型コロナウイルスも
計量できるリスク、ではなく「不確実性」そのものです。
おそらく2001年の「同時多発テロ」も
計れる類ではない「不確実性」に分類されるでしょう。
「カンさん、マーケットが内包するリスク(価格変動のブレ幅)にプラスして、不確実性にも考慮して、運用を続けないといけないなんて「酷」ですよ!」
はい、たしかに。
ただ、
計量できない、突発性を帯びた、嵐のような出来事は、
残念ながら人生で何度か起こってしまいます。
それは(投資をしても)(しなくても)
身に降りかかってくるものなのです・・。
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資の発想法