投資の発想法

資産運用の原始の姿、それは長期・分散です

2020年5月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。 

・・富は生まれたものの、
その使い方を知らない人間は、試行錯誤を重ねていました。

やがて「無駄」という箱の中に
ヒトの心を詰め込むことで「文化」が生まれました。



たとえばヨーロッパの貴族は、
「お抱え画家」を雇って絵を描くことに専念させます。



また貴族は「資産運用会社」も生み出しました。

自分たちの巨万の富(資産)の管理を、専業の者に任せたのです。

 

ここから 資産運用 が始まります。

 

 

 



 

真のお金持ちは、
(真のお金持ちになってみないと気持ちは分かりませんが、笑)

お金を増やすことより、
いかに資産の価値を(長期的に)減らさないようにするのか・・

ここに力点を置いていたはずです。

 

※ 次の、次の「世代」のことまで考えて
資産管理が為されていたのでしょう。

 


なぜなら、それが「クライアント(貴族)」のニーズなのです。



このように資産運用会社の歴史を紐解けば、
資産の運用は最初から『長期のマインド』で醸成されていたことが分かります。


ところで、昔のヨーロッパは戦争に明け暮れていました。

〇 国が滅び国名が変わり、
〇 言語が変わり、
〇 宗教(宗派)が変わり、
〇 ときに王侯貴族は暗殺され、

〇 通貨の呼び名が変わり、
〇 信じられない物価高が起こったり、飢饉が生じたり、
〇 住む場所も肩書きも、名前さえも変えて生きざるを得ない・・。

 

 



 

そのような可能性がある中では、

自然と、あらゆる状況を想定すべし! という意識が高まります。

資産運用における『リスクの分散』という技(わざ)が、研ぎ澄まされていくわけです。


資産運用はスタート地点から、
『リスクに備える』を意識していたのです。


ここまでまとめておきましょう。

 

長期・分散の「こころ」は
資産運用の原始から存在していたのです。



その後、お金を増やす、資産を守るという行いが、
何百年もかかって「ふつうの市民」にまで下りてくると、潜在ニーズをくみ取る形で『投資信託』という道具を登場させることになります。




実は、日本における資産運用の普及は
ヨーロッパのそれとはまったく違っていました。

 

投資信託ひとつ取っても、
それは上からの『政策』だったのです。




日本では1940年に投資信託の歴史が始まります。

藤野英人さんの書籍
【ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義】に
詳しいですが、

 

 

 

 

戦前の投資信託は、
国家が投資資金をまとめて管理し、

また、軍需などの重点産業に
お金を回りやすくするための『道具』でした。


そして戦後は、
財閥の解体、財産税の徴収によって
大量の株式が市場に吐き出されたため、

これを吸収する目的で
「証券投資信託」として整備されたのです。

まさに「国策」ですね・・。



その後長らく投資信託は、
株式(個別株)の脇役として甘んじてきたのです。

 



 

おそらく、この10年くらいではないでしょうか、
日本で『長期』『分散』を謳う、
資産運用の原点が評価され始めたのは・・。

 

おそろしく時間がかかりましたが、物事は着実に良い方向に進んでいます。

 

そして、今後の資産運用ビジネスのカギを握るのは、
あなたのような一介の需要者(ユーザー)なのです。

 

 

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