毎月のつみたての配分比率を変えて『リ・バランス』する?
2020年4月25日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
人間は不思議な生き物です。
たとえば、
不意打ちのような
本質的な『変化』に遭遇しないと、
普段目にしているモノやカタチについて、
ゼロベースな『疑問』を
なかなか投げかけてみることをしません。
はい、資産ベースで配分のズレを元に戻すことです。
―資産ベースで配分のズレを元に戻すこと。―
運用資産が600万円の田中さんは、
資産ベースのポートフォリオを
「株式:債券 = 60:40」と定めています。
もちろん毎月5万円の『つみたて投資』も行っています。
で、その比率は?
えっ、毎月のつみたての配分比率 ですか?
もちろん、
「株式:債券 = 60:40」ですよ。
そんなある年、株式マーケットが落ち込んでしまいました。
田中さんの成績もマイナスになり、
気付けば、資産ベースのポートフォリオは、
「株式:債券 = 50:50」になってしまっています。
運用資産も500万円に減少。)
田中さんは取りあえず、
毎月のつみたての配分比率を、
「株式:債券 = 80:20」にしました。
えっ、なんで?
毎月の積み立てで「株式」の割合を増やしたのです。
えーっと、
お気持ちはよーく分かりますよ。
でも、
毎月のつみたては『5万円』ですから、
そこで株式を80%にしても、すぐには追い付かないのでは?
「えっ?」
今、田中さんの積み上がった運用資産は500万円です。
資産ベースで
「株式50%」を「株式60%」に戻すためには、
50万円分、株式を買い増ししなければなりません。
仮に、
毎月のつみたての配分比率を
「株式:債券 = 100:0」にしたとしても、
月5万円の積み立てですから、
『10ヶ月』もかかってしまいます。
日々、不規則に上がったり下がったりしますよね?
時間をかけ、
毎月のつみたての配分比率を変えて『リ・バランス』するのは、出来なくはないですが、
上の例でいうと
田中さんがせっかく10ヶ月かけて調整作業を行っても、
10ヶ月後、資産ベースでは
また「株式:債券 = 60:40」からズレていた・・
というのはよくあること。
運用資産が400万、500万円ベースになれば、
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』を年に1回、一度に行うことをお勧めします。
【毎月のつみたての配分比率は、変えないのです!】
リ・バランスとは勇気を伴う、英断的な行いなのでしょうか?
いいえ、『リ・バランス』とはズレを元に戻すだけの行為です。
ネクタイがズレていたら、元に戻す。
帽子を被っていて風が吹いてズレてしまったら元に戻しますね?
それと同じです。
(ネクタイのズレを、ゆっくりゆっくり時間をかけて元に戻す人はいないはず)
例外的に、
「つみたて投資」を始めたばかりで
運用資産が200万円にも満たない、
あるいは運用資産に比して「毎月のつみたて金額」が相応に大きい人は、
毎月のつみたて配分比率を変える『リ・バランス』でも対応可能でしょう。
また、理屈では
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』を理解できても、
たとえば、株式を売って債券を買い増す際、
利益に対して「税金」を支払うために
リ・バランスを躊躇される方が少なかれずおられます。
が、ここ一度よーく考えてみましょう。
自分で自分のリスクをコントロールする手綱こそ、
リ・バランスなのです。
同じ『リスク量』を維持していく健全性と、
税金という名の『経費』を支払うデメリット、
資産ベースで配分のズレを元に戻す『リ・バランス』の励行は、資産運用の1丁目2番地なのです。
(ちなみに1丁目1番地は?)
自分が許せるリスクの大きさを知り、
それに見合った「資産配分(ポートフォリオ)」を組むこと!