フローのみの生活 → ストックを持つ → 生活防衛資金を築く(木村剛さんの「投資戦略の発想法」から読み解く)
2020年4月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
江戸時代、地方の農家の人々は
「モノ経済」でほぼ用が足りていたと思います。
『モノで稼いで、モノで支払う。』
それが明治になって、
貨幣(お金)が人々の生活に入り込んできて、
「お金」で払う必要が出てきました。
農産物を育てる人は
年に1度、2度くらいしか、
モノを現金に換えるチャンスがないわけで・・。
(実はこのような経済の過渡期ほど、
『金貸し』のニーズが高かったと推察します。)
さて、翻って「今」です。
新型コロナウイルスの影響で、
支払うべき時に、支払うべきお金があるかが、一大問題になっています。
よく資金繰りという言い方をしますが、
経営者にとってはまさに「生きるか・死ぬか」の問題であり、
たった1日、たった1週間の「お金の貸し借り」が、
利益・コストを生むという教科書的な記述が、
今、現実として方々で起こっているわけです。
ただし、
これは『フロー』で生活をしているという前提です。
(実は)私たちは歴史上のほとんどの期間、
フローで生活をしていました。
明日、来週のご飯(生活費)は賄える?
(そのための)お金は用立てられそうかしら?
出ていくお金と
入ってくるお金の「帳尻」さえ合っていれば、
まあそれでOKという「生き方」だったのです。
(換言すればそれだけ貧しかったのかもしれません。)
意外に思われるかもしれませんが、
来年のため、5年後のために
お金を貯めておこう(=積み上げておこう)という考え方は、ごくごく最近の、まったく『新しい発想』なのです。
個人の家計も企業も、
今ほど『ストック』の有難みが身に染みている時はないのでは?
そういえば2001年、
木村剛氏の『投資戦略の発想法』初版が発売されました。
本書の中で木村氏は
おそらく日本ではじめて
『生活防衛資金』という概念を紹介されたのです。
これはズバリ、
生活費の2年分を確保し、
この資金については投資に回さずに「預貯金」で置いておくという考え方です。
現代は、ふつうの生活者でも
『フロー』の管理さえしっかりすれば、
『ストック』を築くことが可能です。
リスクを負って『ストック』を築く前に、
手元に安全な『ストック』を築いておこう、という考え方そのものです。
木村氏のアイデアは、インデックス投資家にも多大な影響を与えています。
水瀬ケンイチさんも先日、
以下のようにツイートされていました。
東日本大震災の時にも思いましたが、災害等まで考慮に入れると、やはり生活防衛資金は生活費の2年分ほしい。
— 水瀬ケンイチ(みなせけんいち) (@minasek) April 13, 2020
3か月分とか半年分だと、最悪、今回のコロナ禍すら乗り越えられないかもしれない。
生活防衛資金とは?
危機に対する『保険』そのものなのです。
そしてそれは、
投資信託への投資を長く続けるための処方箋でもあります。
カテゴリ:投資の発想法