ポートフォリオ運用, 投資の発想法

宗教と資産運用

2020年2月26日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

先日のウォール・ストリート・ジャーナルに
次のような記事が掲載されていました。

 『モルモン教会の極秘ファンド、運用資金11兆円
収入の1割寄付、秘密のベールに覆われた巨額資金の行方

 

 



 

「極秘ファンド」という言い方は
ちょっと扇情的ですが、

事実、宗教の大元にはたくさんの信者からの
たくさんの寄付金(お布施?)が集まるわけです。


で、あなたはどう思われますか?

 

A 宗教の団体が資産運用なんて
するべきではないと思いますか?

B それとも逆に
信仰をより広く、より長く伝え続けるためには

(経済的な裏付けが必要になるため)
神に仕える身として、
資産運用を行うことに必然性があると思われますか?

 


たとえば宗教ではないのですが、

特定非営利活動法人(NPO法人)は
営利を目的としない組織だから、

その活動費、予備費、運転資金のいずれを問わず、
いっさいのお金について

『利益』を求めるような
(すなわち資産運用的な行為)は、
するべきではないのでしょうか?

 

んー、それって
ちょっと「おかしい」かもしれません。

 

 



 

お金にはほんらい
色も感情もないはずなのに、

【誰が・そのお金を持っているかで】
あなたもわたしも無意識に
お金のあり様を『色分け』してしまっていませんか?



ゼロの地点に戻ってみましょう。

ひとりの人間
ひとつの組織、
それが営利目的の株式会社であろうと、

慈善団体であろうと、宗教法人であろうと、
NPOであろうと
100人で皇居外苑を毎朝ジョギングする会であろうと、

 

幾人かの人が居て
そこに何かしらの『活動』が生まれ、
その『活動』を続けていくためには、

「お金」が必要です。

 

 



 

それを適切に管理することも必要。

そしてひとつの選択肢として、
その中の一部を長い目でみて育てていく行為(運用)も必要になってくるかもしれません。


この場合、
誰が・そのお金を運用するかに依って
『良い・悪い』の判断など出来ないのではないでしょうか。


以前、「ノーベル賞の賞金は、ノーベル財団の運用次第」みたいな記事を書いたことがありますが、

人類の進歩に貢献した人々を、
ノーベル財団として賞し続けるためにも、長期的な運用は必要なわけです。



大学などの高等教育機関と同じように、
宗教団体にも定期的な収入が発生するでしょうから、
ほんらい宗教と資産管理(運用)には関わりがあって当然。。

(それとも、
宗教にまつわるお金はすべて
銀行の預金に預けるべきだと思いますか?)


 

わたしは宗教法人こそ
別途資産管理会社を設立し、

専任の運用に携わる者を雇って
組織的にかつプロフェッショナル
お金の管理をするべきだと思います。



<自分たちの教えをより広く・継続して伝えていくために・・。>

 

 



 

しかし、団体としての理念を保ちながら、
方法論として裏付けのある
合理的な資産運用に取り組むのではなく、

お金が手元にあり過ぎて
その扱いに困った個人が甘い話に吸い寄せられるように、稚拙な運用をしてしまっている例も実際あります。

 

 

 

冒頭のモルモン教の資産運用ファンド
「エンサイン・ピーク・アドバイザーズ」では
十分な利益を上げているようです。

WSJの記事より。

彼らの一部によると、
強気相場が続いた過去10年間に、
同ファンドは2012年の約400億ドルから2014年は約600億ドル、
2019年には約1000億ドルへと成長した。

 


また同ファンドの
ロジャー・クラーク氏の言葉が印象的です。

 

クラーク氏は、
ファンドの富について世間が知れば、
献金する意欲がそがれかねないと、
教会の指導部が懸念しているとの見方を示した。


なるほど。
宗教もなかなか大変なのですね・・。

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