つみたて投資と相性が良いのはリスク「小」のファンド、それともリスク「大」のファンド?
2020年2月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
世の中に『つみたて投資』が広がりつつあるのは
とても喜ばしいことです。
しかしそれと同時に、
「リスクが小さくなって」「安全である」という【誤解】もはびこっています。
ここでいう、リスクとは
価格変動の振れ幅のことですね。
(= ブレの大きさ。)
冷静になって考えてみれば一目瞭然ですが、
〇 一括で投資をしても、
〇 コツコツつみたて投資をしても、
その投資信託の価格変動の振れ幅(リスク)が変わることはありません。
たとえば、暴落が起こった瞬間をイメージしてみましょう。
〇 一括で買った500万円分の全世界株式ファンドも、
〇 つみたて投資で積み上げた
500万円分の全世界株式ファンドも、
どちらも同じように
マイナスの影響を受けるわけです。
そうですよね?)
実はつみたて投資の本質は
別の側面から見られるべきなのです。
つみたて投資は、
投資信託のリスクの大きさを逆手に取り、それを利用する投資実行法です。
??
一括投資だと、
投資してしまったあとに
そのファンドがマイナス18%になっても、
「あーあ」とため息をつくしかありません。
しかしつみたて投資では、
たとえそのファンドがマイナス18%になっても、
それをエネルギーとして
活用することが出来るわけです。
(その月もつみたてを行い、先月より
より多くの『口数』を買えますから。)
ハイ、皆さん、
ちょっとご注目ください。
ここからは
アドバイザーとしてあるまじきことを言います。
ここからは、
あなたが
「どれだけのリスクを取れるのか?」という
リスク許容度をあえて無視します。
・・・・・・
よろしいでしょうか?
つみたて投資に
いちばん向いている投資信託はどれだと思いますか?
前提条件)
〇 すべてインデックスファンド。
〇 運用管理費用はすべて年0.3%。
〇 最低15年はつみたてを続ける。
A 世界債券ファンド
B 株50、債券50のグローバル分散ファンド
C 世界株式ファンド
答えは・・?
C ですね。
(繰り返しです。)
ここでは
あなたのリスク許容度は無視していますよ。
でも、どうして
C 世界株式ファンドなのでしょうか?
答えはカンタン。
もっとも価格変動の振れ幅(リスク)が大きくなるためです。
このため、
価格が大きく落ち込んだ際、
つみたて投資では
「口数」を稼ぐ一大チャンス到来というわけです。
また、世界株式インデックスファンドは、
15年、20年で見れば、
その価格が上昇している可能性も「大」ですね。
もちろん世界株式インデックスファンドが、
10年、15年と長期にわたり、
右肩上がりに『一直線』に
その価格が上昇を続ける可能性も否定できません。
そうなると、
つみたて投資には
あまり向いていない投資対象になってしまいます。
なぜなら、どんどん『平均購入単価』が上がっていき、
稼げる『口数』も大して大きくはならないためです。
ある種の理想形は、
〇 短期で見ると不安定で頼りない。
〇 でも長期で見れば、そこそこ頑張ったね。
という投資対象の状況です。
すなわち、
10年、15年の中でそこそこ大きな下落が幾度もあり、
たとえば10年であれば、
その間120回の購入機会がつみたて投資にはあるわけで、
高値で買った購入機会を、
打ち消してあまりあるほどの安値で買う機会に恵まれ、
結果的には『口数』を大きく稼いで、
かつ「平均購入単価」もそこそこ均されているという状況です。
端的に言えば、
大きく下落する可能性を持った投資対象こそ、
(長い目で見れば)つみたて投資に向いていると云えるのです。
あっ、すみません、ココ、誤解されては困るのですが、
「じゃあカンさんは
全世界株式インデックスファンドを無条件におススメするんだ。」
というのは、正しくありませんよ。
資産運用という長く長く続く行為の【主人公】は、
いつでもどんなときも『あなた自身』です。
「どれだけのリスクを許せるのか?」という
【リスク許容度】がもっとも重要なのです。
それが前提にあって、
次にどの投資信託を充てるという話になることを、
くれぐれもお忘れなきよう・・。
以下、つみたて投資の機能の仕方を、
豊富なシミュレーション事例とともに教えてくれる
つみたて投資の決定版とも言える『良書』です。
カテゴリ:つみたて投資