投資信託あれこれ, 金融機関にモノ申す

投資信託の格差問題

2019年12月7日

こんにちは。
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。

正直に言ってここ数年の投資信託、
とくに『インデックスファンド界隈』の変貌ぶりは
わたしの想像をはるかに超えています。

特に「けいぞくコスト」である
運用管理費用の超低コスト化には目を見張るものがあります。

直接的には
「つみたてNISA」がきっかけだったのでしょうが、

『インデックスファンド』という
成長途上のマーケットに果敢に挑戦し、
(まさに)市場を取りに行く姿勢を見せているのが、

eMAXIS Slim シリーズ】です。



なにせ、
【業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンドシリーズ】と、自らサイト上で謳っており、

同業他社との『コスト競争』に挑むことを宣言してしまっているのです。

 


・・こんなこと、

少なくとも「投資信託の世界」では
いまだかつてありませんでした。

もちろん上記の姿勢には、
一投資家としてエールを送りたいと思います。


が、いっぽうで
少し冷めた自分がいることもまた事実。

「よりコストを下げていきます!」
「他社がけいぞくコストを下げたら、同等の手数料水準を目指します!」

この言葉の崇高さの裏に
「これって(果たして)無条件に言える?」という疑問も浮かんでくるのです。

ビジネスですから・・。

 


 


「eMAXIS Slim シリーズ」を運用する三菱UFJ国際投信は、
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」も運用しています。

あの悪しき毎月分配型ファンドの先頭に立っていた投資信託のひとつです。

少し古いデータですが、
日経新聞こちらの記事によると
三菱UFJ国際投信の運用ファンド本数(公募の追加型株式投信)は683本。

もちろん大多数はアクティブ・ファンドです。

 

 

コストが高いアクティブファンドで十分な収益を得ているからこそ、超低コストの『インデックス・ファンドシリーズ』が出せる。
これは歴然とした『事実』。

(まさに)投資信託の光とです。

 


上記はニッセイアセットマネジメントでも、
アセットマネジメントOneでも、
野村アセットマネジメントでも、

程度の差こそあれ、
どの大手運用会社も同じ『光と影』を抱えていると云えるでしょう。



あなたが買っている、
その『超低コストのインデックスファンド』は、

深い考えもなく(失礼!)
コストが高いアクティブファンドを
気前よくある程度まとまった金額で買い続ける人がいるからこそ、成り立つ「商品(プロダクト)」である。

 

んー・・・、
これって「健全な姿」とは言い難いですね。


わたしはこれを
投資信託の格差問題と名付けます。

 

(たいへん失礼な言い方で恐縮ですが、)

 

高コストの、
成績ではなく目先の流行を追ったアクティブ・ファンドを
気前よく(かつ何となく)買われるリテラシーの低い方々が、リテラシーが低いまま居続けてくれることで成り立っているのが、
超低コストのインデックスファンドの世界。



この【格差問題】は根深いです・・。



・消費者のマネーリテラシーを向上させながら、
・ムダな投資信託の償還を図りながら、
・重なったファンドの統合を推し進めながら、

平均としては当然下がっていくであろう「運用管理費用」を補って余りあるほど、新たな顧客を継続的に獲得していくという【大手術】が、

投資信託業界では求められているのです。


ただ、長い目で見ればわたしは楽観視しています。 

なぜなら、この日本では、
投資信託を持つ人より、
投資信託など持ったことがない人のほうが圧倒的に多いためです。 


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