指数のお話

MSCIエマージング・マーケット指数に占める「中国A株」の比率が少しずつ高まっています

2019年12月6日

こんにちは。
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。

ずいぶん前から、
「新興国株式インデックス・ファンド」にはお世話になっています。

ということは?

新興国株式の代表的なベンチマーク、
MSCIエマージング・マーケット指数』にもお世話になっているということ。

当該指数(インデックス)は1988年に算出を開始しました。

振り返ってみますと、
90年代末から2007年頃までは、

MSCIエマージング指数の組入れ比率としては、
韓国」「台湾」そして「南アフリカ」が突出していました。

が、それもむかしの話・・。

 

インデックス(指数)とは『生き物』です。
したがって、
その中身はときにドラスティックに変遷します。

 

これが↑インデックス投資の本質でもあります)


11月29日現在、
『MSCIエマージング・マーケット指数』は
新興国の国々26ヵ国、1400余りの株式を内包します。

国別組入れ比率は以下の通り。

 



画像元:MSCI

そう、中国の比率がずいぶん高くなっています。
(34.02%!)

実は2008年にはじめて、
『MSCIエマージング指数』の中で
「中国」が組み入れ国第一位となりました。


ひと口に「中国株式」と言っても、
インデックス投資家にとっては長年、

 

外国人投資家が容易にアクセスできる
『香港市場に上場する中国株式』が中国株式のことだったのです。

 


よく『市場平均』という言い方をしますが、
指数(インデックス)は公平性を期すため、

指数への組入れに関しては、
国ベースでも、銘柄ベースでも
『厳しく、かつフェアなハードル』を設けています。

<だから皆が一貫性を持った市場平均だ、ベンチマークだ、と評価するわけです>



昨年2018年、指数算出会社であるMSCIは『大きな決断』をしました。
「中国A株」をエマージング・マーケット指数に組入れ始めたのです。

 

中国A株とは?
中国本土市場に上場する中国株式のこと。

 


上記の決断はMSCIが、
中国本土株(A株)が
外国人投資家にもアクセス可能な
一定レベルの透明度を備えたマーケットと判断したゆえのことなのでしょう。

(もちろんこの決断には『賛否両論』があると思います。)



昨年6月1日から、
まず「第1段階」として、
中国A株全体の2.5%のみを組入れ。

続いて昨年9月「第2段階」では、
中国A株全体の5%程度を組み入れ。

その後も、7.5%、10%、12.5%、15%と徐々に組入れを増加させ、

つい先日、19年11月26日に
中国A株全体の20%程度を組み入れるに至りました。

引用元:『ETFs prep for MSCI’s latest China A shares weight increase』 

 

 

 


これで
「MSCIエマージング・マーケット指数」に占める
中国 A 株の割合は約4.1%となります。

そう、同指数に占める中国株式「34.02%」の、すでに4.1%分は、
A株(中国本土株)」なのです。

 

仮に、ですが、
この【流れ】が今後も続くとすると?

 


香港市場の中国株式の時価総額が変わらなくても、
MSCIエマージング指数に占める
中国株式の割合は『上昇』していくことになります。

なぜなら、
まだ、中国A株全体の20%程度しか、
指数には組み込まれていないためです。




ロイターのこちらのリリースによりますと、

現時点でMSCIは更なる「A株」の組入れについては言及していません。

そういえば以前、
相談者さまから質問を受けたことがあります。

 

「カンさん。新興国株式の中で中国の割合が高くなり過ぎると、
1つの国にリスクが偏ることになりませんか?」と。

 

たしかに、それはそうです。



が、MSCIコクサイ指数に占める
アメリカ株式の割合は約69%にもなります(11月29日現在)

そのうち、
新興国株式と付き合うとは
中国の株式とつきあうということ。

そういう時代になるのかもしれません。 

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