経済よもやま話

むかしは今より豊かだったんですね、というセリフを吐く可能性について

2019年11月24日

投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。

坂道を駆け上っていくときの躍動感は、
経験した者にしか分かりません。

 

が、坂道を少しずつ下っていく
連続する徒労感は、きわめてドラマになりにくいのです。

過去を振り返ると、どんな国の、どんな成長物語にも、
必ず「ピーク」というものが存在し、

坂道を駆け上ったあとには、
ゆるやかな衰退が待っているというのは摂理であります。

 

ヴェネツィア共和国、
かつてのスペイン、イギリス、もしかしてアメリカも?

 

 

以前、カウンセリングで
50 代のお母様と 20 代の娘さんの
親子の相談者さまと対峙したとき、

わたしは次のようなことを申し上げました。

 

「お母様が経験されてきた 40 年と、
娘さんがこれから経験される 40 年は、
まったく違う景色になるのでしょうね・・・」

 

 

かつて、日本という国では、
「昔はみな貧しかったのよ。生きるのに精一杯で・・」 という時代がありました。

(中には戦争を経験された方もおられます。)

 

あるいは「高度経済成長のど真ん中で、
とにかくがむしゃらに働いたよ・・」

と応える人もいます。

(わたしの父がかつて言っていました。
休みは月に2回で、寮のお風呂には1週間に1回だけ入らせてもらえたと)


これから先、
わたしが 73 歳くらいになったとき、

2041 年の 30 代、40 代の人たちは、
「むかしは、今より豊かだったんですね」

というセリフを吐く可能性が高くなっています。

 

2041 年に80 歳になったおばあちゃんが、
「あのね、昔はバブルという時代があってね、
タクシーがなかなかつかまらなかったのよ・・」
と言ったりしている…。

 

 

そのおばあちゃんが
「バブルの生き証人」として特別番組に出演し、
さまざまなエピソードを披露します。

画面上には色褪せた 1989 年当時の映像が映し出されます。 番組のコメンテーターは、

 

「結局、1990 年代から
構造改革のチャンスが幾度もあったのを
その都度先送りし、安易な借金を積み重ねて問題解決を先送りしてきた結果が、
今日(2041 年)の日本の衰退を招いてしまったのです・・」 と発言している可能性が、あるのです。

 


私たちに出来ることはそんなに多くはありません。
でも、対処することは可能です。

 

いまのお仕事以外で常に
「なにかマネタイズできること、モノはないだろうか?」

「自分が見落としている自分の特技、優れたところって何処だろうか?」
こういう自問自答はたいへん重要です。


一人のひとが、複数の仕事を同時に持ったり、
あるいは時系列で複数の仕事を渡り歩いていったり、そんなことが珍しくなくなるでしょう。

 

 

 

収入源の多様化を図ることは
資産運用的に捉えれば、ある意味当然のこと。

 

そしてお金自体も、運用における世界分散の以前に、

もしかすると、
毎月の給与もドル、ユーロ、豪ドル、ポンド、スイスフラン、人民元などから選べるようになり、

個々人が「手取り収入」の段階から、国際分散を意識するようになるかもしれません。

 

好きとか嫌いではなく、
資産運用のマインドは時代の要請なのかもしれませんね。

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