資産運用は昔、お金持ちのためのものだった?
2019年11月2日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
わたしの記憶によれば、
野村證券がメインサービスのひとつとして
「つみたて投資」と言い始めたのは、
リーマンショック後のことです。
投資信託「つみたて」の最低つみたて金額も、
最初は「1万円」でしたが、
5000円 → 1000円単位へと、
徐々に引き下げられていったのです。
あの、野村證券でも・・。
歴史を振り返ってみますと、たしかに資産運用は(最初)資産家のためのものでした。
(だいたい運用会社の起源が、
ヨーロッパの貴族の資産管理でしたから。)
歴史の大部分において、
「つみたて投資」の必要性を説く人は
微塵もいなかったのは事実でしょう。
まとまったお金(ストック)で
リスク資産を買っていく人たちですから。
資産運用のアドバイス業務はどうでしょう?
もっとも進んでいる米国でさえ、
投資アドバイザーの多くが、
顧客に「最低・運用資産額」の基準を設けています。
それがだいたい
金融資産 20万~25万ドルくらいなのです。
2000万円から2500万円!(1ドル100円換算)
資産運用とは
『お金持ち』のためのものだったのです。
モダンポートフォリオ理論も、
数々の金融商品も、
所詮「閉じられた空間」の中で共有されていたに過ぎません。
では、
資産運用がお金持ちのものでなくなったのは
一体『いつから』なのか?
・・21世紀に入ってからでしょう。
規模の利益がモノをいう、
あるいは
閉じられた紹介、縁故サークルであった資産運用の世界が、
テクノロジーの進化によって大きく変化したのです。
ETFやインデックスファンドという『道具』も、
テクノロジーの一種とみなすことが可能です。
このような商品の普及が
投資の民主化に貢献しているわけです。
また、米国では
WelthfrontやBettermentといった
新興の金融機関、
いや、金融のテクノロジー企業が登場しています。
上記会社はいわゆる投資一任契約による
「お任せ運用(ロボアドバイザー)」を行う会社であり、アメリカで人気を博しています。
両社を比較するこちらのような記事が
複数あります。
〇 ETFを用いて
〇 高度な資産配分を組み、
〇 メンテナンス(適切なリバランス等)までを含めて、
運用資産の 0.25%のフィーという、
画期的な料金体系を打ち出しています。
(たとえば Welthfront の
最低投資額は500ドルから!)
貴族の資産管理から始まった資産運用業は
ついに「大衆産業」になったと云えるでしょう。
わたしのようなファイナンシャルプランナーも、
このような状況下で
「何を売りにするのか?」を
真剣に考えないといけないでしょう。
おそらく、
技術的なアドバイスだけでなく、
精神面で相談者さまに寄り添える
カウンセラーの役割に近づいていくのだと思います。
以下、わたしが目標としている『アドバイザー像』です。
相談者さま
「今年は何をすればいいですか?」
アドバイザー
「何もする必要はありません」
<< 次の年 >>
相談者さま
「今年はどうすればいいですか?」
アドバイザー
「今年も何もする必要はありません」
<< また次の年 >>
相談者さま
「今年こそ何をすればいいですか?」
アドバイザー
「今年も何もする必要はありません」
相談者さま
「では、あなたはいったい何のためにいるの?」
アドバイザー
「はい、お客様に、余計なことをさせないようにするためです」
カテゴリ:投資の発想法