繰上げ償還された「FPバランスファンド」ってご存じですか?
2019年10月31日
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。
これまでたくさんの投資信託を見てきました。
「おぉ、これは!」と思ったファンドも
(もちろん)たくさんありまして・・。
そのうちのひとつが
『FPバランスファンド』です。
当ファンドは2009年に運用をスタートしました。
独立系のFP会社
「FPアソシエイツ&コンサルティング」がファンド設計に関わり、
資産配分や投資対象の選定についても、
投資助言を行っていました。
なんで「過去形」・・?
(運用会社は当時の三菱UFJ投信です)
ざっくりですが
当該ファンドの『ポートフォリオ』は、
〇 株式 35% グローバルリート5%
コモディティ 10% というものでした。
株式内の新興国株式を
オーバーウェイトする配分は当時画期的で、
まあ、リートとコモディティの割合は
逆のほうが良かったと思いますが、
運用管理費用も当時0.6825%(税込)であり、
十分低いコストで、
このバランスファンドは期待できるかもと思っていたのです。
ところが・・
7年後の2016年、
このファンドは「繰上げ償還」されてしまいます。
【繰上げ償還】って?
運用会社の都合で
約束した期日以前に、
ファンドの【運用】が終了してしまうこと。
たとえるなら、
JR中央線で高尾まで行くつもりだったのに、
この電車、三鷹止まりになったので、降りてください。」
と言われるようなもの(-_-;)
※ 運用期間が「無期限」のファンドを選んでいたら、
約束の期日というのは勿論「無期限」なのですよ。
そのファンドの質が
そこそこ良いからと言って、
そのファンドが長年
運用を続けてくれるとは限らないということ。
残念ながら
投資信託の業界も「ビジネスライク」に動いています。
さまざまな製品、
その他サービスと同じく、
投資信託もある程度【売れてくれないと】
ファンドの作り手も、ファンドの使い手も、
みな困ってしまうわけです。
繰上げ償還の憂き目に遭わないためには?」
教訓のふたつ目。
純資産額が少ないファンドは避ける。
これに尽きます。
あなたは投資信託を買う前に、
運用会社のサイトで、
そのファンドの最新情報をチェックしていますか?
★「純資産総額」・・ ← ここの数字を見るのです!
最低『30億円』は欲しいところ。
『100億円』あればなお安心でしょう・・。
そして出来れば、
最新の『月次レポート(運用レポート)』も見て、
「純資産総額」の数字だけでなく、
「純資産総額」の推移も、チェックしたいもの。
・・・(時系列で見て)
「純資産額」が右肩下がりで減ってきていないかどうか。
ココをチェックするわけです。
結局、運用会社もビジネスなので、
投資信託の【口数】、
そして【純資産額】が少なくなり、
ファンドを効率的に運用することが
ムズカシクなってしまったら、
(=赤字を垂れ流すだけの存在になってしまったら、)
運用会社がファンドの運用を、
中途で【終わらせることもありますよ!】
と言っているのです。
たとえば、上記のようなことは
ファンドの『約款上』で、
・・当該ファンドは
総口数が10億口を下回ると
繰上げ償還される場合があります。・・
みたいに書かれているのですが、
★ ここでの『注意点』は、
総口数が一定口数を下回ると、
必ず「繰り上げ償還」されるわけではないこと。
結局のところ、
繰上げ償還する、
しないの最終判断は、
【運用会社】に委ねられてしまっているのです。
この点、
投資信託の「一大リスク要素」として
私たち(ファンド保有者)は
しっかり理解しておくべきでしょう。
さて、FPバランスファンドの
繰上げ償還は、
どのように知らされたのか?
当時販売会社のひとつだった、
沖縄銀行のサイトに詳しい情報が載っていました。
サイトを見ると、
繰上げ償還までの【詳細なスケジュール】が
記されています・・。
委託会社の三菱UFJ国際投信株式会社より、
2016年4月14日(木)に
繰上償還を予定している旨の連絡がございました。
これに伴い当行では、
2016年2月19日(金)をもちまして、同ファンドの販売の取扱を停止いたしましたので
ご案内いたします。
【ご参考】繰上償還(予定)に関するスケジュール
3月8日(火) お客さまへ繰上償還に関するご案内を発送
3月8日(火)~3月23日(水) 異議申し立て期間
3月24日(木) 繰上償還可否決定日
4月14日(木) 繰上償還日
4月15日(金) 償還金の支払い
つまり、
繰上げ償還の発表があっても、
実際の償還日までには
通常、1ヵ月半から2ヶ月程度の
「時間」があるわけで・・。
その間、任意に投資信託を解約することは
もちろん可能なのです。
(残念ですが、)
繰上げ償還が決まったら、
出来るだけ早く
ファンドは売ってしまったほうがよいでしょう。
★ 仮に、
投資信託が繰上げ償還されても、
ゼロになってしまうわけではない】ので、
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