投資の発想法

投資の10年選手になるために資産管理アプリを削除しよう

2025年6月4日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

投資の道のりは山あり谷あり。
同じ熱量で長い道程を歩み続けないといけません。

そこでは自分を主人公とせず、
冷めた「もう一人の自分」を育てる視点が求められます。

 

よい意味で自分の行動に「制約」を与え、
自分をうまく騙してあげるのです。

 

たとえば、
投資信託を購入する際、

・いつ、
・いくらぐらい(金額ベース)購入するのか?

 

このような裁量(自分で決定できるスペース)をあえて放棄して、「定時・定額」の積立投資に専念することが出来ます。

 

制約を作ると、物事をシンプル化しやすくなるのです。

 

 

 

 

 

では、次はどうでしょうか。
・毎月1回だけログインして己の資産残高を見に行く

 

ちょっと驚かれるかもしれませんが、
自分をうまく騙して、
ファンド価格をチェックする「頻度」を減らすわけです。

 

近年はスマートフォンが普及したため、
個人投資家の間に「取りあえずチェック症」が蔓延しています。

実際、ファンド価格を毎日チェックする人は多いと思います。

 

 

アプリをタップして
運用成績を「日次」でチェック。
市場 → 下がった
わたしの成績 → どうなった?
という「反射作用」がいちいち起こります。

 

 

正直に言って、
長期投資家には「アプリは百害あって一利なし」でしょう。

 

あなたにとって大切なのは、
ファンドの価格を逐一知ることではなく、
長い投資期間をいかに効果的に泳いでいけるかです。

 

 

 

 

 

運用資産残高を確認したい時は
ブラウザ経由でネット証券にログインし、
資産管理画面を見に行けばよいのです。

 

長期投資・・長い時間の帯を渡っていくこと
実際の行為・・毎日アプリをタップ

 

これでは「目指すべき所」と
「やっていること」がちぐはぐになってしまいます。

 

 

実際、ファンド価格を毎日チェックすると、
毎日の微細な変化を
いちいち体内に取り込んでいくことになります。

 

あなたの「給料日」は月一なのに、
毎日上下する「日給ベース」を確認し、
それを気にしながら仕事をこなしている感覚に近いでしょう。

 

 

毎日資産残高を見てしまうと、
一喜一憂する機会がそれだけ増しますね。

 

資産管理アプリは削除して問題ありません。

 

話は唐突に変わりますが、
たとえば米国株式市場のデータを振り返る時、

 

「S&P500指数」(市場平均)が
「下がった日」と「上がった日」では、
一体どちらのほうが多かったのでしょうか?

 

 

 

 

 

これは(常識的に考えて)
「上がった日」のほうが多かったはずです。

なぜなら長期で見れば
市場は曲がりなりにも、
上昇トレンドを維持し続けてきたわけですから。

 

ただ、意外にも、
―「上がった日」と「下がった日」の回数で比較すると―

 

1929年以来、
S&P500指数は
市場が開いた営業日のおよそ46%で「下がっている」のです。

 

これは驚きでしょう。
「下がった日」の比率は意外にも高いのです。

 

言い方を換えると、

もし米国のS&P500指数との連動を目指す
「投資信託」を保有していれば、
かつファンド価格を「毎日」見てしまっていれば、

そのうちの46%は「ああ、今日は下がったな・・」と嘆息することになっていたわけです。

 

 

投資の10年選手になるためには、
運用成績の確認頻度を(わざと)少なくしましょう。

 

※余談ですが、企業型の確定拠出年金では、まったくログインはしておらず、半年に一度送られてくる「運用明細書」の書類だけを見るという人もいます。

 

なるだけ日々の動きから距離を置くのです。
資産管理アプリがなくてもまったく支障はありません。

 

あなたには(日常)もっと大切なことがあるはずです。

 

 

 


 

 

資産残高を見るのは、例えば「半年」に1度でも構わないわけです。

 

夏の盛りに、分厚いセーターや毛糸の帽子を見ると、「なんでこんな物をわざわざ保管しているのだろう?」と思ったりしますが、半年後には必要になるわけです(そんな感覚こそ「半年」という時間なのです)。

 

また職業柄(ファイナンシャルプランナー)、
ネット証券の資産管理画面に「年に1度」しかログインしないという人を何人も知っています。

(長期投資の”猛者”とお呼びしてよいと思います)。

 

年に1度とは「誕生日」の時の刻み方です。

人は自分の誕生日が来ると「ああ、もう1年経ったんだ」と確認しますね。

 

(投資においても)
誕生日のような時の刻み方に近づいていければ、
それだけ時間が経つのが(感覚的に)早くなるはずです。

 

何しろ投資は「今」と「将来」の価値の差によって利益を上げようとする行為なのです。

 

 

実際、「年に1度」しか資産状況をチェックしない人は、
25%の確率でしか損失を自覚しません。

「ああ、今年は下がったんだ・・」と呟くのは4年に1回程度なのです。

 

時(とき)を短く刻めば刻むほど、
小さな下落もいちいち記憶に残ります。

 

3ヶ月に一度、
半年に一度、
1年に一度という時の刻み方は、その間の変化をスルーして、ひたすら長めの時間リズムで過ごそうという意思なのです。

 

“投資の成否は、時の刻み方をコントロールできるかどうかにかかっています。”

 

 

 

 

最後に、
3ヶ月に1度だけファンド価格を見ても、
毎日ファンド価格を確認しても、
あなたが保有するファンドの値動きの仕方はいっさい変わりません。

 

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