世界投資家 = オルカンを保有する人
2025年5月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
『オルカン』が世に登場してまだ7年足らずで、
日本を代表する投資信託に成長したのは
とても喜ばしいことだとわたしは思います。
投資商品に限らず、
どんなプロダクト(製品)でも、
「その製品がただ優れている」だけでは、
爆発的に広まることはありません。
『タイミング』・・が必要なのです。
具体的にいえば、
世の中がそのような製品を
潜在的に欲している『時期』に、製品がリリースされる必要があります。
もしも『オルカン』が
2018年の設定ではなく、
「2008年」の設定だったら、
という不安がもたげてしまっていたかもしれません。
今(2025年)振り返ってみるとよく分かりますが、
個人投資家の意識はすでに、
「知ってる国」「知ってる株式のみ」に投資する=怖いにシフトしています。
実際、オルカンが連動を目指す「MSCI ACWI指数」の中で、 日本株式の比率はわずか「5%」に過ぎません。
残りの95%は海の向こうへの投資(海外株投資)なのです。
「オルカン」に投資を行うあなたは、
おおむね「行ったこともない国」「知らない会社」ばかりに大胆にも投資を行う人となります。
世界投資を
半ば強制されているわけです。
ところで、『オルカン』に投資をし続ける最大の障壁は為替リスクでしょう。
ちょっと想像してみてください。
海外株式に投資を行う際、
いちいち円を「外貨」に替えて商品を購入すると、
いちいち「為替リスク」を意識します。
ほんとうは為替の変動は気にせず
粛々と購入していくべきなのに、
ココにも、
オルカン=「全世界株式インデックスファンド」のメリットがあります。
あなたは円建てで当該商品を購入します。
あっ、これは為替リスクを取っていない、という意味ではありません。
ただ、決済の通貨が「円」で
価格も円建て表示なので、
よい意味で『外貨建て投資』の緊張感を和らげてくれるのです。
こんな『イメージ』をお持ちください。
あなたがもし、
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を1万円分購入すれば、
円建て資産は500円程度です。
残りの9500円はすべて外貨建ての株式となります。
(ドル建ての株やユーロ建ての株や、豪ドル建て株や、台湾ドル建ての株や、インドルピー建ての株など多彩です)
広範に
「為替リスク」を負っています。
運用資産内で90%以上外貨建てになっても、
トータル資産のバランスがいびつになるわけではありません。
運用相談の現場では、
というご心配もお聞きします。
が、豪ドル建て個人年金保険ならいざ知らず、
世界株式型のインデックスファンドは、
20以上の通貨に分散され、
そのどれもに対して長期で「円高」が続くとは考えにくいです。
さらに、
実際に為替リスクを実現させるのは、
当該ファンドを『解約する』際であり、
これも一度に全部売るわけではありません。
少しずつ少しずつ解約を続けることになるでしょう。
したがって結果として
『円高局面』で売るときもあれば、
『円安局面』で売るときもあると考えるのが自然ではないでしょうか。
(為替リスクという名のブレはある程度抑えられるのです。)
日本人の個人金融資産は
2230兆円(24年12月末時点)まで膨らんでいます。
が、その大半は
まだ『円資産』で占められています。
わたしは根っからの円安論者ですが、
それには理由があります。
多くの日本人が
リスク分散のために『投資』を始めるのはまだまだ「これから」であるためです。
ちょっと想像してみてください。
個人資産2230兆円のうち
たった10%(223兆円分)でも、
新たに、外貨預金や外国株式ファンドなど
外貨建て資産に資金の「移動」が起きれば、
※将来の不安を払しょくし、リスク分散を図る一環として
それは223兆円分の「円売り」「外貨買い」需要となります。
日本経済の頭打ち感が顕著になればなるほど、
保有資産の「非円化」は
ある程度のボリュームまで膨らむことになるのではないでしょうか。
大胆な外貨資産の保有が可能になることは『オルカン』の大きなメリットのひとつでしょう。
カテゴリ:インデックス投資全般