いつファンドを売ればいいの?心配症候群
2025年4月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
『つみたて投資の終わり方』という本を出したせいでしょうか、
ここ数年、
55歳~65歳のお客様が増えています。
ご存じの通り、
この年代の人は
公私ともに「大きな転機」を迎えるケースが多いです。
たとえば60歳にもなれば、
『リタイアメント』が迫ってきます。
仕事を卒業することは、
(人生の)大きな、大きな節目となります。
お子さんも(そろそろ)独立して巣立っていきます。
はたまた、自分の親が衰え、介護が必要になったり、旅立ち(死)に立ち会ったりもします。
―この時期になると、―
この株や投信はいつまで持ち続けるのか?」という、素朴な疑問にぶち当たります。
この疑問はそのまま、
『はて、
この株や投信はいつ解約するのか?』という疑問でもあります。
一度、深呼吸してみましょう。
日本語的には、
× いつ解約するのか?
〇 いつ解約し始めるのか?
ですよね。
今、2000万円の投資信託を保有する人が、
いっぺんに
すべてのファンド資産を「売る」わけではないですから。
(いっぺんに全部売る必要は、そもそもありませんし、
いっぺんに全部売ってしまうと、逆に
長いセカンドライフで果たしてお金が足りるのか?という心配が発生します)
整理しておきましょう。
疑問形の正しい形は、
『はて、
この株や投信はいつから解約し始めるのか?』であります。
この答えは明快です。
ココで重要なのは、
投資信託の値段を見て、解約し始めるわけではないこと。
資産の取り崩しという作業を始める起因は、
あなた自身の、
あなたの人生の変化の中にあります。
※つみたて投資を始める時も、投資信託の値段を見てスタートしたわけではないですね。あなたが「今から始めよう!」と決心して、積立投資が始まったわけです。
自分のリスク資産を
『いつ』から解約し始めるかは明快です。
あなたがリタイアし、仕事からの収入がなくなった瞬間から。
そう考えると、
すべての起点が、
『あなたのセカンドライフの開始時期』と重なります。
イデコ(iDeCo)をいつ受給するのか?
これもよくいただく『質問』です。
特にまだ50代前半、40代、30代の人は、
税制や、各種控除の枠組みは
今後どのように変わるかわからないので、
税制等の『外部要因』を気にし過ぎず、
あなたという『内部要因』を気にしてください。
すなわち、
63歳でリタイアするなら、
63歳から受給し始める(年金形式)
至極シンプルです。
また、
特定口座や旧NISA(つみたてNISA)や新NISAで持っている『投資信託』は、
楽天証券やSBI証券で
『投資信託定期売却サービス』が使えますから、それらを利用すると、自動的(かつ)定期的にファンド解約ができます。
(※SBI証券は本年中にNISA口座での投資信託定期売却サービスに対応予定)
ただし、縛りがあるのが「公的年金」です。
63歳でリタイアする場合、
公的年金を「繰上げ受給」してしまうと(受給額が恒久的に減ったままで)いかにも勿体ないです。
63歳 ・・・・ 65歳
(リタイア) (公的年金)
となりますので、
上記の場合、65歳に至るまでの「2年間」は、自分の資産から多めに取り崩すという調整作業を行いましょう。
60歳 ・・・・・・・ 65歳
(リタイア) (公的年金)
の場合は、
65歳に至るまでの「5年間」は、
自分の資産から多めに取り崩すという調整を行うわけです。
67歳・・公的年金受給開始
67歳・・イデコ、企業型DC受給開始
67歳・・投資信託の定期売却開始
という「ツラを揃える戦略」でOKなのです。
シンプルですね。
繰り返しですが、
資産管理全般において、
投資信託の価格の上下を気にするあまり、
お金のマネジメントの『主導権』を、株式市況に奪われてしまわないように注意しましょう。
この資産管理はあくまで
あなたが『主人公』なのです。
最後に、
株式、投資信託の解約に際して、
窓口別の売却の『順序』は・・、
特定口座(課税口座)、旧NISA口座(つみたてNISA)、NISA口座の順となります。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し