リタイアメント・資産の取り崩し

『定額』取り崩しと『定率』取り崩しの本質的な違いについて【前編】

2025年4月18日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

心のどこかで(何となく)、
『定率』取り崩しのほうがいいかな・・と思う心地はあっても、

それが理屈的に
より優れている管理方法であると(なかなか)実感しにくいものです。

 

なぜなら、
リタイア後の「資産管理」において、

毎年毎年ファンド価格が
どのようにアップダウンするか(= 毎年の「結果収益率」が何パーセントになるか?)は予め決まっていないためです。

 

『定額』取り崩しと『定率』取り崩し。

 

 

 

 

 

両者の比較においては、

具体的な『例』を挙げて、
シミュレーション比較してみたほうが分かりやすいのかもしれません。

 

そう思っていたら、
FPの頼藤 太希さんの記事を見つけました。
(NEWS PICKSに掲載の記事)

 

 

 

まずは、
大事な『前提』のところを整理しておきましょう。

 

実際は「毎年◯%で運用できる」という保証はありません。

 

運用成果を年単位で見れば、
大きく値上がりする年もあれば、
少ししか値上がりしない年もあるでしょう。

 

 

値下がりする年もあるはずです。

 

さらに、値上がりする年・値下がりする年がいつやってくるかでも、資産残高の推移が大きく変わってきます。

 

はい、その通りですね。

 

 

頼藤さんは記事内で
10年間、資産の取り崩しを行う中で、

 

保有するリスク資産が、後から振り返ってみれば、年率「プラス4%の収益率」になったよ。という『前提』を挙げておられます。

 

 

 

 

 

ところが、です。

 

年率+4%のリターン(10年間)といっても、
実にいろいろなパターンがあるわけです。

 

単純に考えても、

 

パターン1)前半成績が良くて、後半は悪かった。
パターン2)前半成績が悪くて、後半は良かった。とか。

 

 

ここからがいよいよ本題なのですが、

頼藤さんは『定額』取り崩しにおいて、

 

パターン1)前半成績が良くて、後半は悪かった【前半の収益率が高い場合】
パターン2)前半成績が悪くて、後半は良かった【後半の収益率が高い場合】

 

の2パターンを、実際に提示されています。

 

それが下記図表です。

 

 

 

画像元)NEWS PICKS
「資産を築く」よりも「資産を使う」方が断然難しいって話

 

※1年目、2年目、3年目・・の下に記されている数字が、実際の各年の結果リターンです。

 

 

パターン1、パターン2とも、

 

当初2000万円のリスク資産を
毎年『160万円』(当初8%相当)ずつ取り崩すという「前提」です。

 

 

繰り返しですが
ポイントは、

 

〇 10年間の通算で見ると、
どちらのケースも「年率+4%の収益率」であった。

〇 そして、どちらのケースも、10年間での「トータルの引き出し額」は1600万円であった。という点です。

 

 

 

 

 

 

結論からいえば、

 

パターン1)
前半成績が良くて、後半は悪かった。

よりも、

パターン2)
前半成績が悪くて、後半は良かったケースのほうが、

資産の減少割合が大きくなっています。

 

 

言い方を換えれば、

『定額』取り崩しでは、

同じ「平均・結果収益率」(10年間)であっても、


毎年毎年どのような結果リターンの軌跡を描くのかで、資産の変動の仕方が大きく違ってくるということなのです。

 

後半に続く・・)

 

 

 

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