市場リスクの正体
2025年4月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資家が長い目でみて
「成長」できるかどうかは、
起こった事象から、
『学び』を得られるか否かにかかっていると云えます。
2025年の4月第一週に起こった株式市場の急落は、
貴重な学びの機会となったはずです。
何しろ『市場リスク』という名の
価格が振れる様子を、
体感として「経験」できたわけですから。
※この経験自体、稀有で貴重なものです。
インデックス投資(この場合、特に株式インデックスファンドへの投資)は、
負けにくい、
安全で、確実な投資法・・
というような表現が、
YouTube動画で上がっていたりしますが、
これらの表現は正しくありません。
株式インデックスファンドは、
特定の『株価指数』(株式市場の平均値)と同等の値動きになるよう設計されるため、
たとえば、
S&P500のインデックスファンド保有しているあなた。
よっしゃー。
S&P500のインデックスファンドも20%上昇!
あーあ。
S&P500のインデックスファンドも20%下落・・。
これが『市場リスク』の中身です。
そして、インデックス投資そのものの本質でもあります。
これまで、
インデックス投資に対して
平易で安定感のようなものを抱いてきた人は、
ぜひケンズ(kenz)さんの記事
【インデックス投資は決してリスクが少ない投資法ではない、だからこそ重要なこと】をご一読ください。
インデックス投資は市場全体の変動を丸ごと受けるため、リスクは決して小さくありません。
はい、その通りです。
あなたがこの先、
「同じ姿勢で」「長く」投資を続けるために、
できれば折に触れ思い出してほしいのですが、
2025年の4月の第1週、
たった2日間で
米国のS&P500指数は
マイナス10.8%を記録しています。
たった2日です。
為替の影響(円高→為替差損)も含めると、
S&P500のインデックスファンドを保持する日本人投資家にとっては、
たった2日間で
ファンド価格が
マイナス12%、マイナス13%になった『体感』であったはずです。
たった2日です。
しかし、上記の例は同時に、
たった2日間で
株価指数が(たとえば)プラス10%となり、
為替の影響(円安が進み→為替差益)も含めると、
株式インデックスファンドを保持するあなたが、
プラス12%、プラス13%程度のリターンを得る可能性も含んでいることを意味します。
『下落リスク』を丸ごと負うことは、
隈なく獲得できることと『対の関係』なのです。
これが「市場リスク」の中身です。
※投資の世界でいうリスクとは、価格が上下に振れる、振れ幅の大きさのことです。
仮に、です。
今回起こった程度の、市場リスクの現出で、日常生活に支障をきたすようなら、
株式インデックスファンドへの投資ではなく、
〇債券インデックスファンドも組み入れた投資スタイル
あるいは、
〇債券と株式をミックスさせたバランス型ファンドという投資スタイル
あるいは、
〇総資産における、
リスク資産(投資信託等)の「比率」を下げるよう調整する・・
といった、
具体的な『修正作業』が必要になってくるでしょう。
上記、いろいろと
厳しめのことをお話しましたが、
(実は)市場リスクのみを背負うインデックス投資には『利点』があります。
それは、
少々妙な表現になりますが、
今回のようにインデックスファンドの価格が急落しても、
あなたは自分(投資家)を責めることはなく、その事実を市場(マーケット)のせいに出来ます。
事実、今回の急落も、あなたのせいではないわけです。
ところが仮に今回、
あなたがアクティブ型の株式ファンドを選んだり、
特定の米国株を3銘柄、日本株を2銘柄選んでいたり、
市場平均を上回る可能性のある、
なにか特定の投資商品をあなた自身の思惑で選んでいたとしたら、
かつ、
今回の株式市場の急落で、
それら特定の投資商品が大きく下落したりしていたら、
あなたは、
その責任を市場(マーケット)に転嫁できず、
あなた自身(=その商品を選んでしまった自分自身)を責めてしまうことになるでしょう。
これは、精神衛生上よろしくありません。
逆の立場から言えば、
市場リスクのみを背負う『インデックス投資』は、
―ここから関西弁になりますが、―
と、
市場の下落現象のみに注力できるため、気持ちの切り替えが比較的しやすいというメリットを有します。
この「サバサバ感」も、
わたしがインデックス投資において好きな点のひとつです。
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資家の感情リスク