GPIFのインデックス比率って?
2025年3月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
率直に言って
他人のお金を運用する場合、
自分のお金を運用するのと比較して、
『客観化』がしやすいと思います。
やるべきことは?
2.不規則な変化が起こってもルールに従う
このふたつを守るだけです。
※自分のお金を運用する場合、
「運用のしかた」を、
自分の感情(気持ち)が邪魔したりすることがあります。
たとえば、
他人のお金を運用することを
「公の機関」で仕事にしている人たちがいます。
その運用方法や
運用成績は
上から下まで『開示』され、
運用がうまく行かないときだけマスコミから非難され、
それでも、
黙々と仕事をこなす人たちなのです。
その名は・・GPIF。
GPIF
「年金積立金管理運用独立行政法人」のコンセプトは明快で、
国民年金保険料や厚生年金保険料を、長期的な観点から運用します!
というもの。
GPIFの資産配分比率(基本ポートフォリオ)は
2020年の4月から、
以下のようにおおよそ『4資産均等の配分』となりました。
思ったより単純明快です。
巷ではよく、
何十億、何百億円の資金を運用する富裕層のポートフォリオは、深淵かつ複雑であるべきで、一般大衆のポートフォリオとは違うのだという「都市伝説」がありますが、
GPIFの運用資産は何百億円どころか、250兆円を超えています。
なのに、こんなにシンプル明解なポートフォリオなのです。
もちろん、
GPIFの運用は
市場に隈なく投資を行うインデックス運用が主体です。
たとえば、GPIFの『株式部門』のパッシブ運用(インデックス運用)比率は、国内株式で95.51%、外国株式で87.97%となっています(2024年3月末時点)。
画像元)GPIFのESG投資と情報開示
資産別でいうと、
株式のほうがパッシブ比率が高いのが特徴。
債券についてはアクティブの比率も、相応に維持されているのです。
以下は
GPIFの資料『2023年度運用状況』を参照していますが、
過去10年間では
株式の「パッシブ比率」が
約80% → 93~94%程度に上昇しています。
いっぽう債券では、
市場環境変化に応じ適宜アクティブ比率を調整していますが、10年前とアクティブの比率はそれほど変わっていません。
更に言えば、GPIFの資産運用はシンプルでクレバーであるだけではありません。
その運用管理において、
厳格に『リ・バランス』をルール化しています。
何しろ250兆円を超える「巨大な資産運用」ですから。
基本ポートフォリオ(国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%)からの資産比率の乖離を、毎営業日ベースで監視しています。
そして、
資産構成割合の乖離幅が
『許容範囲を超えた場合』には、適宜リバランスを検討・実施します。
実際、2022年度の実績では
『リ・バランス』が年間58回行われています。
とあなたは思われるかもしれません。
これにはGPIF独自の「事情」があります。
ともかく運用主体としては
世界でもっとも大きいクジラくらいのボリュームがあるため、
『リ・バランス』の頻度を多く・細かくすることで、市場への影響を最小限に抑えようとしているのです。
2023年度の実績としては
『リ・バランス』の結果、
国内株式19兆円・外国株式19兆円を売却しています。
(株式市場が上昇し、株式の構成割合が増したため。)
この売却代金を、債券市場へ再配分しています(債券の構成割合が減じたため。)
結果、基本『ポートフォリオ比率』を維持させ、GPIFは過去最高の45兆円を超える収益を達成しています。
スゴいですよね。
もっと褒められてよいと思います。
GPIFの運用実態から
私たち個人投資家が学べることは?
2.不規則な変化が起こってもルールに従う
です。
シンプル イズ ベスト なのです。
ロイター 25年3月31日(浦中美穂)
カテゴリ:インデックス投資全般, ポートフォリオ運用