確定拠出年金(iDeCo・企業型)

確定給付年金(DB)から確定拠出年金(DC)への移換に関する相談が(再び)増えています

2025年3月4日

 


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

確定給付年金(DB)から
確定拠出年金(DC)への『移換』。

実はこの『移換する』って、年金制度界隈の、専門用語です。


あなた(当事者)にとっては、

「えっ、何それ?」という戸惑いそのものです。



が、会社(あなたの勤務先)にとっては、

企業の『運用責任』がなくなるため、
今日もどこかで
数えきれないくらいの数の会社が、

確定給付年金(DB)から
確定拠出年金(DC)への『移換』を検討しているはずです。




従前の「確定給付型の年金」(いわゆる企業年金:DB)では、あなた個人の『勘定資産』というものがあります。


それを(確定拠出年金:DC)に移換させる際、
あなたがその会社で勤務してきた『年数』が長ければ長いほど、けっこう大きな金額ベースになったりします。

 

 

 

 


場合によっては数百万円単位に、

相談『実例』としては、

「800万円位が確定拠出型年金(企業型DC)に入金される」というお客様もおられました。

 

 

確定拠出年金制度が始まったのが2001年のこと。



およそ四半世紀が過ぎて、

【確定給付型】の年金制度から、
あるいは【退職一時金】の制度から、

従業員が自分の責で資産運用を行う【確定拠出型の】年金制度へ、国全体として大きな旋回が起こっていると如実に感じます。



(あと20年もしないうちに、
米国と同じように『確定給付型』の年金制度のほうがマイナーになってしまうことでしょう)



あなた(当事者)自身は
「なんかイヤだなぁ、面倒くさいなぁ」と思われるかもしれませんが、

ここは『チャンス』と捉えてみませんか?

 

 

 

 

 

えー、何?
自分の裁量で投資できる『原資』が、一気に数百万円も増えるの?ラッキーじゃん。



くらいに思っていただきたいのです。



(NISA口座のほうで、天から数百万円もお金が降ってくることはありません。)

 

さて、確定拠出年金(DC)に移換となると、

毎月の『掛金』(拠出金)が割り当てられ、
あなたは嫌々でも『積立投資』を始めることになります。


 

 


以下「具体例」で示してみましょう。

小川さん(仮名)の会社では、
この4月から『確定拠出年金』(DC)が導入されます。

小川さんには掛金「1万円」(月)が割り当てられ、

 

今日配られた『金融商品のラインナップ表』の中から、
毎月、何に、何パーセント(%)「積み立てるのか」、
その掛金の『配分割合』(%)を記入して、3月○○日までに提出してください。と言われます。

 



以下、あくまで一例ですが、

小川さんは散々悩んで、
次のような『配分比率』にすることにしました。
(具体的な投資信託もようやく決定しました。)

 

 

 



が、話はこれで終わりではありません。




併せて、確定給付年金(DB)からの移換金
800万円が小川さん「DC」の口座に入金されることになりました。

 

 

 

この800万円を、(DBからDCへの)『移換金』(いかんきん)と云います。


この800万円は
確定給付年金(DB)における、小川さんの個人勘定の資産(時価)に他なりません。

 

もっ、もしかして、この800万円というまとまった資産」についても、DC制度の中で、わたしが『配分比率』の指定して、
具体的な『投資信託』も決めて、3月○○日までに提出しないといけないの?



YES、です。

 

※企業によってはこの『移換金』を半年~1年ほどかけ、3回、4回に分けて入金してくれるところもあります。

 

 

 



小川さんが、去年NISA口座で積立投資を始めたばかりの『初心者』だとしましょう。


その場合、いきなり800万円ものお金を「振り分けなさい!」と言われても困ってしまいます。

だいいち、金額が大き過ぎます。



一度大きく深呼吸してみましょう。

 


 

 

800万円分の『移換金』については、

 



上図のようにすぐに『資産配分』しようとせずに、

 

 

ひとまず「定期預金 100%」と記入して、提出するのもアリです。

 

 

わたしのアドバイス(一例)は以下です。



800万円という『まとまったお金』を、
わざと『毎月ベース』にばらしてあげて、

例えば(一例ですが)

 

月10万円×80ヵ月 のように、

 

月1万円の純粋な『積立投資』とは別に、一定期間「拡大つみたて」を手動で行ってあげましょう、というものです。

 

 

その内訳は
上記の小川さんの例でいえば、毎月の掛金の「配分割合」に倣って、

 

毎月)10万円分「定期預金」を売る

毎月)6万円「株式インデックスファンド」を買付け
   4万円「債券インデックスファンド」を買付け

 

のように作業スイッチングと云います)を繰り返し、徐々に投資信託を積み上げていくことになります。

 

※上記とは別に、月1万円(掛金)の純粋な積立投資も続けるわけです。

 

 

 



 

投資のビギナーが
800万円もの資産を一挙に、

480万円「株式インデックスファンド」
320万円「債券インデックスファンド」のように買付けるのは、

 

『リスクの階段』をあまりに大胆に駆け上り過ぎでは?とわたしは危惧します。

 

 

別に、慌てる必要はないわけです。

 

今日のお話の隠れたポイントは、企業型DCにおいて

 

〇毎月の掛金の「配分割合」と、
〇移換金そのものの「配分割合」を揃える。という点です。

 

 

ついでに申し上げれば、

〇企業型の確定拠出年金の「資産配分」と
〇NISA口座の「資産配分」も揃える。と、

投資の大きな見取り図を、ひとつの型(かた)に統一することが出来ます。

 

カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)

おすすめの記事