『オルカン』と『S&P500』を半分ずつ買う問題
2025年2月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
なるほど、
お気持ちはよく分かります。
SNSでも
「オルカン」「S&P500」って連呼されていますし。
また、日経新聞の報道でも、
NISA口座において、
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」への資金流入額は、他のファンド群を圧倒していると記されています。
名前が異なる、
圧倒的知名度を誇る上記『2つの投資信託』を、
ここから、
その消費者本位の視点で記したいと思います。
全世界株式(オール・カントリー)と
米国株式(S&P500)という、
まったく違う名前の製品があれば、それはまったく別種の金融商品である。
したがって、
これらを『1/2ずつ』持つことは、
何かしらのリスク分散、安全性を保持することにつながるのでは・・?と思ってしまうわけです。
と、ここで残念なお知らせです。。
全世界株式(オール・カントリー)
米国株式(S&P500)、
『名前』はぜんぜん違いますが、
『牛丼』と『ねぎ玉牛丼』くらい中身は似ています。
ヘンな表現で恐縮なのですが、
自宅のダイニングテーブルで、
・・どんな感じになりますか?・・
つまり、
「オルカン」「S&P500」を半分ずつ積み立てても、
全体的な傾向としては、
特に米国の巨大テック企業の株をたくさん食べる、いや、たくさん保有することになります。
何しろ、
「オルカン」「S&P500」とも、
上位組み入れ10銘柄がほとんど変わらないのです。
画像元)月次レポート
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」
画像元)月次レポート
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」
両者を『半分ずつ』購入しても、
すでにたくさん持っている銘柄を、さらに買い増すだけになってしまいます。
あっ、もちろん『牛丼』そのものは美味しいのですよ。
でも、
すでに『牛丼』を食しているなら、
違うタイプの食品を選ぶほうが
食事のバランスはよくなります。
(別途)カレーを頼むとか。
(別途)サラダを頼むとか。
もしもあなたが、
全世界株式(オール・カントリー)にプラスして、
あるいは
米国株式(S&P500)にプラスして、
何か別の投資信託を買いたいなら、
そうすることではじめて、分けて購入する意味(分散効果)が生まれます。
『オルカン』と『S&P500』のファンドを1/2ずつ買っても、実は分散効果はなく、逆に集中効果を生んでしまうわけです。
資産運用でいちばん難しいのは、気持ち(感情)をうまく取り込みつつ、おおもとでは理屈(サイエンス)で行為を捉えることなのでしょう。
カテゴリ:インデックス投資全般