投資家こそ せっせとお金を使おう!(カネがモノ・サービスを打ち負かすとヘンな事になります)
2025年2月14日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
毎年楽しみにしているM1グランプリ。
昨年(2024年)私の中で最強だったのが「バッテリィズ」のお二人です。
オフィシャル動画もあがっています。
M1グランプリ2024 バッテリィズ【決勝ネタ】<ファーストラウンド>
エースさん)
哲学者って何や?
寺家さん)
哲学者っていうのは、
物事の本質を見極めるために、生きるとか死ぬとかについてずっと考えている人のことや。
エースさん)
働けよ!
というくだりが
私は好きなのです。
(画面左側の)エースさんの発想は、
まさに前提なし
固定観念なし
無駄な知識なし、なので、
これぞ
「ゼロ地点思考」と呼べるものだと私は思っています。
すでに、無駄な前提や知識を持ってしまっている私たちは、
一つの言葉や、
一つの事象に対して、
裸(はだか)のレス が出来なくなっているのです。
それをエースさんは鮮やかにやってのけます。
そこで、ちょっと私は思い付いたのです。
価格変動を伴う資産を購入して、その価格(価値)の差異をもって利益を得ようとする人のことや。
となります(笑)
時間の長短の違いはありますが、
『投資家』って
資産の価格差をもって利益を得ようとする人たちなのです。
エースさんの「ゼロ地点思考」で
投資家という像を眺めれば、
それは
「実用経済」の付録の人に過ぎません。
経済という実態が賑わってはじめて、リスク資産を保有する投資家は報われるわけです。
例えば、
アップルのiPhoneがちゃんと売れて、アップルという会社が利益を上げているからこそ、アップルの株式を(もっとその価格がもっと上がるだろうと)買う人もいるわけで。
大事なのは、
2.アップルの株の売買が賑わうこと。ではありません。
1が実在して初めて、2が成り立つわけです。
そうですよね?
1が乏しく、2だけが賑わっているなんてあり得ません。
最近不安に思うのは、
先進国全般で
「モノ・サービスが欲しい」という需要がなかなか盛り上がらないこと。
日本の場合は、
労働生産人口がどんどん減っているため、
「総需要」が減り続けているわけですが、
たとえ先進国全般で『総人口』が同じだったとしても、「あれが欲しい!」という需要は逓減していると感じます。
それは・・、
イノベーションによって
人類が発展した『結果』なのでしょう。
先ほどのiPhoneに話を戻します。
昭和60年に35歳だった吉田さん(仮名)さんは、
固定電話、手紙(便箋・封書)、
腕時計、カメラ、ビデオカメラ、
録音機、電話番号帳、鏡、目覚まし時計、カレンダー、道路地図(本)、オーディオ、ウォークマン、預金通帳、テレビ、ラジオ、ワープロ、
みんな別々に
それぞれ購入して、
保有する必要がありました。
ところが今は
「ひとつの道具」(iPhone)に収まってしまいます。
もはや人生の中で
ほんとうに大きな買い物は
マイホーム(不動産)と、教育サービス(教育資金)への出費くらいなのでは・・?
過去200年超の
連続的なイノベーションの結果、
私たちは
「あのモノが、あのサービスが欲しい!」という希望を徐々に叶えてきたわけです。
※もちろん、この先、別種のモノ・サービスの需要は創造されるでしょう。
脳から直接コンピューターにつながりたいとか、200歳まで生きたいとか、(残りの人生は)バーチャル空間でチャーリー・チャップリンのような劇的な人生を歩みたいとか。
が、上記のような高次な需要に応えるためにはあと「ひと世代」は必要かもしれません。
それまでは、
モノ・サービスに対する『総需要』が盛り上がらず、
人はお金の用い方に迷って、
お金で資産を買う方向に進み、お金(資産)を多く持つという潜在需要がより顕在化していく・・
なんて想像は、私は大胆でも何でもないと思っています。
まさに、カネが モノ・サービスを打ち負かす状態です。
ほんらいマジョリティーは、↑ モノ・サービスを伴う『実用経済』であって、お金(資産)の『経済』はマイノリティーであったはず。
でも、世の中的には、
2.アップルの株の売買が賑わう状況にシフトしつつある。
と感じてしまいます。
人々が総体として、
『資産』の購入にばかり熱心になれば、
そして、モノ・サービスの需要が逓減していけば、
株式のほんらい価値(fair value)も長い目で見て落ち込んでしまうわけです。
これって、合成の誤謬と呼ばれるものですね。
合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)とは、個人や企業にとって正しい行動が、全体としては望ましくない結果を招くことを指す経済学の概念。
つまり、
私たち投資家は、
自身の投資の成功のためにも、お金を増やすだけでなく、せっせとお金を使っていく必要があるわけです。
最後に、
バッテリィズのお二人の掛け合いをアレンジすると、
価格変動を伴う資産を購入して、その価格(価値)の差異をもって利益を得ようとする人のことや。
となります(笑)