バンガードのETF『VT』年間経費率を0.06%に引き下げ
2025年2月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
バンガードのETFとミューチュアルファンドの、年間経費率『改定』が発表されています。
今回の経費率(コスト)削減は、バンガード社の50年近い歴史の中で最大規模であるとしています。
(実は)継続的に『年間経費率』を下げ続けるって
スゴイことです。
本日代表例として挙げるのは、
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)です。
当該ETFの『経費率』が、とうとう年0.06%まで下がりました。
VT(全世界株式ETF)は2008年に米国で設定され、1年後の2009年6月11日、楽天証券にて念願の『取扱い』が始まりました。
年0.3% でした。
画像元:楽天証券
世界にインデックス投資の有用性を知らしめ、実際にプロダクト(投資信託・ETF)を組成し、それらを広く普及させ、
なお、継続して経費率(コスト)を引き下げる『姿勢』を変えない というのは、見上げたものです。
投資家に(常に)『価値還元』を示し続けているわけです。
たしかにETF、インデックスファンドのビジネスは
「純資産総額」が大きくなればなるほど、
(運用の中身は同じですから)
『コスト』の引き下げがしやすくなります。
しかし、
バンガード社の場合、
実はそれだけではないのです。
持続的なコスト引き下げを可能にしています。
例えば国内の生命保険会社さん、ご存じですよね?
(ニッセイとか、明治安田とか、住友生命とか・・)
たとえば、
明治安田の正式名称は、
明治安田生命保険相互会社です。
「・・相互会社って?」
会社の「社員」になっている会社形態です。
(実は)バンガード社も
それに似た会社形態を持ちます。
(※ 余談ですが、バンガード創設者
ジョン・C・ボーグル氏がこの「相互会社形態」を目指したことは画期的だと思います)
バンガードのファンドを保有する人
(ファンド保有者)が、
換言すれば、
バンガードという会社は、
“ファンド保有者以外によっては「所有」されていない” ということ。
つまり?
つまり、
『外部株主』が存在しないのです。
ちょっと想像してみてください・・。
『外部株主』がいなければ
その人たちのために「利益」を出したり、
「配当金」を出したりする必要がないので、
ファンド保有者のほうだけを向いて経営ができます。
ココ、伝わっていますか?
わたしよりも数倍、
このスキームについて詳述した記事を、
2012年3月に日本経済新聞社の
田村正之さんが書かれています。
以下、同記事からの引用です。
「同社は資産が大きくなって収入が増えて
コストを上回ってくれば、
それぞれの投信の決算期ごとに、
その分、エクスペンス・レシオを引き下げて
投資家に還元し続けている。
『かかったコスト(実費)だけしかもらわない
実費経営がバンガードの基本』(バンガード・インベストメンツ・ジャパンの加藤隆代表)なんだ」
※ エクスペンス・レシオとは経費率のこと。
※ 加藤隆代表は当時(2012年時点)
画像元:日本経済新聞
これからも、
「VT」をはじめ
バンガードのETF、またミューチュアルファンドの年間経費率は逓減を続けていくことでしょう。
最後に、日本の運用会社勢も負けてはいません。
スゴい時代になったものです。
カテゴリ:インデックス投資全般