やかんの不思議、市場のふしぎ
2025年1月27日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ジョーン・M・ワシントンの箴言に
次のようなものがあります。
やかんは、見張っていると
いつまでたっても沸かないときがある。
でも見張っていないと、かならず吹きこぼれる。
意味深き、です。
事象はひとつだけ。
やかんにお水を入れ、沸かすという行為のみです。
たったひとつの行いなのに、
あなた(観察者)の見方、事象に対する捉え方次第で、ものごとの変化、時間の進み方まで違ってくる・・。
私たちが見る世界というものは、
「このように動くのだ」
「こういう理屈があって、こう変化するのだ」みたいに、
ひとつの真理があり、
それに基づいて絶対的にコトが運ぶのではなく、
あなたが
世界をどう捉えるかで、
今、
目の前に見える「景色」は変わってくるのです。
換言すれば、
あなた自身の思考と行動が生み出した、あなたにとっての「風景」なのです。
まったく同じ事象を見ても、
山田さんの景色の見え方は
あなたとは異なることでしょう。
何しろ、
やかんにお水を入れて沸かすという行為だけでも、見え方が違うわけです。
マーケット(株式市場)も同じです。
やかんは、見張っていると
いつまでたっても沸かないときがある。
この意は、
『市場』を短期で捉えるときの、あなたの心象風景に他なりません。
毎日毎日株式マーケットを見ていれば、些細な1ミクロンの上下動(変化)が日常になってしまいます。
最近・・、
スマートフォンに、
マネーフォワードなどの家計簿(資産)『アプリ』を入れていたり、また、ネット証券の『アプリ』を入れていたりするお客様が増えている印象があります。
『動作』としては
イチ、ニー、サンで
ファンド価格もすぐにチェックできます。
簡単に資産状況が把握できる点では便利なのですが、
資産運用という行為の捉え方が、
(ちょっと)せわしくなってしまいませんか?
やかんは、見張っていると
いつまでたっても沸かないときがある。
に、近くなっていないでしょうか。
あなたが毎日ファンド価格をチェックしても、
3ヶ月に一度だけファンド価格を見ても、
ファンドの値動きの仕方は変わりません。
もしもあなたが投資を『長く』続けたいのなら、
ポイントとなるのは
時間の『把握のしかた』ではないでしょうか。
スマホのアプリは削除したほうがいいかもしれません。
(これは投資に限りませんが、)
1ヵ月に1回位しか気にしないほうが、
毎日毎日気にしているよりも、
時間の経ち方は早くなります。
投資は、
『時間』という要素をテコにして
あなたのお金の『価値』を増大させようとする行為ですから、
ストレスなく
時間が(早く)経つような環境を作ってしまったほうが、あなたにとっては得策であるはずです。
1日1日のスケジュールから、
なるだけ投資のことを除外するようにしましょう。
(家族との語らい、趣味に没頭する、あるいはお仕事を優先することで時間を埋めてしまうわけです)
やかんは、見張っていると
いつまでたっても沸かないときがある。
でも見張っていないと、かならず吹きこぼれる。
私たちは投資を長く続けますが、
別に『市場』(マーケット)を見張る必要はないわけです。
カテゴリ:投資家の感情リスク