個別株への憧れ(前編)
2025年1月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
個別株の何が楽しいかというと、
「個々の会社」についていろいろ調べて、
新たな『知見』が得られることでしょう。
大昔ですが、
わたしは東レや図研やショーボンド建設などに興味を持って、
その会社の沿革や
どんなモノ、サービスを作っているかを
さまざまな角度から調べてみました。
もちろん収益性を示すさまざまな『指標』も見比べて、なけなしの百数十万円で3つの株式を購入しましたが、
(結果は)なかなか上手くいきませんでした・・。
しかし、
個々の会社のことを深く知ること自体はとても興味深いものです。
リスク資産の『メイン』は、インデックスファンド(ETF含む)で保有しているよ。
という相談者さまを、わたしはたくさん知っています。
そういう場合の「個別株式」って、
ご自身の中では
こころの余裕の中での『楽しみ』
ポケットマネーの中で持つ『へそくり資産』のようなイメージなのです。
最初、
投資という行いに興味を持ち始めると、
「まずは個別株!」と、
条件反射する人が少なくありません。
が、まずは「個別の株式」を買ってみるという投資の「経路」を、わたしはお勧めしません。
個別株 → ファンド(ETF含む)ではなく、
(もしも)投資の『順序』というものがあるなら、
ファンド(ETF含む)→ 個別株 であるべきでしょう。
なぜかというと、
あなたが『サーフィン』を習い始める様子を想像してみて欲しいのです。
あらゆる『サーファー』は
まず、小さい波から
(それに慣れていったあと)大きい波に乗り換えていくはず。
スポーツの習得の「経路」と
投資の習得の「経路」はよく似ているのではないでしょうか。
(スキーも同じですね。)
それからもう一つ。
個別株を選ぶ『プロセス』そのものの中で、実は「難しさ」が存在します。
ここでは日本株に話を絞りますが、
たとえば、日本には
何千という株式会社が「上場」していますが、
あらゆる情報媒体で
目にする「個別株式の情報」のほとんどが、
誰もが見知る『大企業』の情報です。
(これはアメリカ株式も同じでしょう)
小さな、
名前も聞いたことがない『上場企業』を知る機会が、私たちにはほとんどありません。
試しに
スマホのメモ帳に、
あなたが知っている
日本の、
上場している株式会社を書き出してみてください。
つまり、
私たちは自分で『個別株』を選ぶ!と言いながら、
これは、情報提供側にも責任があります。
私たちは個別株の潜在ユーザーとして、
「どの株を買ったらいいんだろう?」
「どのセクターから選ぶべきなんだろう?」
「今熱い株って、どれなんだろう?」
と、ついつい夢見がちな夢想をしがちです。
そんな潜在需要者の『心理』を知り抜いて、
株式の評論家や
SNSのインフルエンサー達は、
それはなぜか?
無名の、小型の会社では、
そもそも知っている人が少ないので、
多くの人に『興味』を持ってもらえないためです。
「あっ、あの会社ね!」と、
誰もがその名を知る『株式』だからこそ、
投資家の射幸心も駆り立てられるというもの。
よく考えてみますと、
未知の、誰も知らないような『事象』に興味を駆り立てられ、自分のお金まで供したいと思えるようになるには「膨大なエネルギー」が必要です。
それに、です。
評論家やSNSのインフルエンサー達も、
誰もがその名を知る『大きな企業』を推奨しておけば、倒産して株価がゼロになるなどの危険性も減らせます。
つまりあなたが、
誰もがその名を知る、大企業の「株式」を買ってしまうのは、
これが「個別株」を選ぶ難しさでしょう。
自分がよく知っているから。
世間もよく知っているから。
たとえば「アップル」の株式など、その典型です。
が、
「アップルの株式」が
これから先も本当に儲かるのでしょうか?
それはまた、別のお話なのです。
カテゴリ:投資の発想法