Mr.マーケットはお願いすればするほど、真逆の動きをしたりします
2025年1月16日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
20年以上毎日マーケット(株式市場)を見ていると、市場には本当に「Mr.マーケット」が居るような気がしてきます。
Mr.マーケットは
いったいどんな顔をしているのか?
それは誰にも分かりません。
どんな視線で辺りを見回し、
どんな気持ちを抱いているのか。
・・それも誰にも分かりません。
Mr.マーケットはあまりにも巨大で、
複雑で、捉えどころがありません。
Mr.マーケットは
不意にあなたの傍にやって来て、
わざとその心情をこぼし、弱み?を垣間見せて、
一度や二度は、
Mr.マーケットの動きを言い当てた!と信じ込ませることまで、することがあります。
狡猾です。
だいぶ前の記事ですが
ウォール・ストリート・ジャーナルに
『相場波乱でも「ミスター・マーケット」に惑わされるな』という記事がありました。
たいへん示唆に富む内容なので
シェアさせていただきます。
2009年3月、
米株式市場は過去1年に4割近く下落していた。
しかしイエール大学の調査によると、
8割以上の個人・機関投資家は、
株式市場がその後の半年間に、急落する可能性が極めて高いと予想した。
(実際には32%の値上がりで予想は外れた)。
長くマーケットと付き合っている人なら、
「分かるよ、その気持ち!」
と頷かれるのではないでしょうか。
実際、
2008年10月頃から2009年3月末くらいまでの、
まるで大きな地震が何度も続くような下落の連鎖は、
わたし自身も忘れようがない辛い経験でした。
今でも覚えていますが、
わたしが把握しただけでも、
2008年の年末までに
3名のお客様がリスク資産をすべて売却されてしまいました。
この時期は、
下がり続けるという『トレンド』が市場を支配していました。
その場に、
あなたも居合わせていると想像してみてください。
下落を続けているという「流れ」に悪い意味で適応してしまうのも、人間という生き物の特徴です。
まさに【慣性の法則】です。
実はこれは
急騰を続けるマーケットでも、まったく同じことが云えます。
ところで、冒頭のWSJの記事です。
どうして予測できなかったのか?
下落を続けていた「流れ」に対して、
突如、上昇し始めるというのは
『突然変異』であったためです。
真逆のパターンを考えても、理屈は同じでしょう。
(上昇を続けていた「流れ」に対して、
突如、下落し始めるというのも、また『突然変異』なのです)
この『突然変異』のことを、
株式市場では Mr.マーケットの心変わり と呼びます。
Mr.マーケットは気まぐれに、
その感情表記(喜・怒・哀・楽)を変えますが、
あなたは
(下落のトレンドから)
突如「上昇」に変わっても、
(上昇のトレンドから)
突如「下落」に移っても、
自身の『投資姿勢』を変える必要は1ミリもありません。
そもそも、株式市場(Mr.マーケット)は変人的な動きをするという前提を持つことが大切です。
『突然変異』は何度も
不規則に起こります。
(それが資産市場の本質です。)
でも、です。
そうは言っても、
免疫がないと、
投資ビギナーの人などは、
突如上がっても
突如下がっても「そわそわ」してしまうかもしれません。
まあ、少しずつ慣れていくしかありません。
ひとつだけしてはいけないこと。
それはMr.マーケットに『お願い』することです。
来週はまた上がってくれますよね!(お願い。)
もっと下がり続けて、
10ヵ月くらい低迷し続けて!
その間に、うんと積立金額増やしてたくさん買いますから!(お願い。)
傾向として
Mr.マーケットはお願いされればされるほど、真逆の行動を取ったりします。
株式市場は、
あなたやわたしの『思惑』を超えたところで動くものなのです。
最後に、
上記WSJ記事から引用しておきましょう。
1896年以降、ダウが1日で
2%以上下落したケースは1011回あった。
(ダウ・ジョーンズ・マーケット・データ調べ)。
これは平均で33営業日に1回の割合だ。
しばしば下落するところなのです、株式市場というところは・・。
カテゴリ:投資家の感情リスク