投資家の感情リスク

「浮かれた気分に浸っている」と、気付きにくくなるのがバブルの本質

2025年1月13日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

経済指標の話ではありません。

たとえば、
テック企業の時価総額が膨らみ過ぎだとか、

S&P500の益利回りが
米国の長期金利より高くなっているとか、そういう話でもありません。

 

株式市場の過熱感の一端を表す、
外的な『客観指標』はたくさんあることでしょう。

 

しかし、それらも、

「数字」そのものが過熱を示すからといって、必ずしも市場が近々下がることを確約するものではありません。

 

 

 

 

 

今日は
あなたやわたしのような
個人投資家の具体的な行動(もしくは考え)から、

 

「あれ?浮かれ過ぎていません・・?」を
考察してみたいと思います。

 

 

先日、Xに以下の投稿をしました。

 

 

 

実際、
この半年くらいで
複数の人から問い合わせの形で上のような質問をいただいています。

 

あなたはどう思われますか?

 

 

自分のお金を
リスクを負って
自力で運用する行為(投資)と、

社会保障のひとつである公的年金は
まったく別の主旨の、
別のタイプのお金です。

 

※ちなみに公的年金制度は
障害年金や遺族年金など
「公的な保険の役割」も内包しています。

 

 

 

 

あくまで私見ですが、公的年金を早くもらって(そのお金で)投資に勤しむということ自体が「浮かれているのでは・・」と感じてしまいます。

 

しかも、です。

公的年金を(実際)繰上げ受給してしまうと、
減額された年金額は「固定」されてしまいます。

これはいかにも「もったいない」とわたしは思います。

 

 

 

 

こうまでして、
NISAを用いてオルカンなどに投資をする・・?

でも自力での投資は(そもそも)リターンが確定しているわけではありません。

 

 

 

 

 

ここまでして
NISAを用いて投資を『したくなる』理由とは?

 

23年、24年と、
あまりにも株式市場が好調過ぎて、

リスクに対する『体感』が
鈍ってしまっているからではないでしょうか。

 

 

わたしは

2001年、2002年、
あるいは2009年、2010年の頃を思い出します。

 

真面目に積立投資を続けているのに、
資産はいっこうに増えず、
むしろ含み損のままの状態が続いていた『季節』です。

 

このような厳しい時期には
自然と
『株式』に対する期待値(リターン)が緩やかな数字になります。

 

 

「カンさん。
長い目で見て、年3%、4%くらい増えてくれれば御の字だと思っています。」

 

こういうお言葉を実際に聞いた記憶があります。

 

 

 

 

 

ところが、
同じような投資信託に投資しているだけで、

 

年に10%、15%増えることを経験すると、
「もっと、もっと」と、
自然にリターンに対する要求が増してしまう私たちが居ます。

 

数字上、より高いリターンを求めるだけでなく、

「こんなに増えるのなら、
公的年金でも、
住宅ローンの返済額を節約できた分でも、


なんでもいいから、もっと多くの金額を投資に回そう!」という論理が(無意識のうちに)働いてしまうのです。

 

前出のわたしのXの投稿に、
こんな形で引用してくださった人もいました。

 

 

 

驚きです。

 

 

お金を借りられるのなら、
証券会社のローンを用いて、もっとリスク資産を買おうとか。

フラット50にして住宅取得して、
月々の返済額を抑えて、
その分、投資信託への積立投資額を増やそうとか。

ボタンの掛け違いが、甚だしく起こっていると思いませんか?

 

 

 

 

 

これらの、
個人の行動や発想は、

その仔細の一つひとつが、

「ちょっと浮かれている具体的な様子」としてわたしには映ってしまいます。

 

バブル的な雰囲気の本質とは、

「浮かれた気分になっている」ことに、気付かなくなるところにあるのです。

 

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