リスク資産が膨らむと、リスク量も増えます(投資家は成長しないといけない?)
2024年12月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたが背中に背負う「リスク量」も増えます。
こんな当たり前の事実に、
11月のYouTubeライブにいただいた質問で気づかされました。
『質問』の内容は
概ね以下のようなイメージです。
損失許容額が「マイナス500万円」として、
これまで株式ファンドで積立を続け、
リスク資産が500→700→1000万円と
順調に増えてきたのですが、
今、あっという間に1600万円まで膨らんでいます。
株式ファンドが最悪の場合、
マイナス50%程度暴落すると考えると、
現時点で最大損失予想額が「マイナス800万円」になります。
自分の損失許容額「マイナス500万円」を上回るので、
ファンドを600万円分売って、
それを安全資産にシフトさせ、
リスク資産1000万円の状態に戻そうと思っています。
これは正しい考え方ですか?
・・あなたはどう思いますか?・・
わたしは(理屈として)
質問者さんの考え方はストレートに「正しい」と感じました。
と同時に、
ファンドを600万円分売ることには「反対」という意見です。
“矛盾してない?”
ハイ、矛盾しています。
質問者さんのように、
自分が許せる損失額を『設定』することは、
投資のリスクを定量的に捉え、
リスクと向き合う姿勢を明確しており、
ほんらい褒められるべきことです。
実際、
株式ファンドを500万円持つのと
3000万円持つのとでは、
見える景色はぜんぜん違います。
・リスク資産3000万円時→暴落→-50%→-1500万円
でも、です。
質問者さんの言うように、
自身の損失許容額(マイナス500円)に軸を置き続けると、
1000万円以上のリスク資産は持てない。
ということに・・・。
これは投資という行為の根幹にかかわります。
投資を続けるとは、
『リスク資産』を大きくしていくことであるためです。
とすれば、
大きくなるリスク資産と並行して、
あなた自身の『リスク許容度』も育っていかないといけません。
いや、
あなたの『リスク許容度』も育てて(=高めて)いく必要がある。
これは、
山の頂(いただき)を
5000万円の「リスク資産額」と仮定すると、
そこにたどり着くために、
山(リスク資産額)を、
懸命に登り続けねばならず、
途上で山道が険しくなったり、
高山病に近い症状が起きても
「登ることを止めない姿勢」が求められるわけです。
山を登り続けるとは、損失許容額を上げていくことに他なりません。
これが投資という行いの根底に流れる過酷さ。なのです。
リスク資産が500→700→1000→1500→3000万円と
膨らんでいくことに、
ただ「やったー!」と喜ぶだけではあまりにも能天気ではないでしょうか。
わたしも恥ずかしながら、
上記質問者さんに、
投資のきほんの「き」の部分を再度気付かせていただきました。
ありがとうございます。
保有するリスク資産が膨らむと、
あなたが背中に背負う「リスク量」も増します。
幸いに、
リスク資産の500万円が
いきなり3000万円になることはありません。
時間を掛けながら、
育っていくリスク資産の額と並行して、
あなたの『リスク耐力』も少しずつ高めていく覚悟を持ちましょう。
投資を続けるとは、そういうことなのです。
カテゴリ:投資家の感情リスク