『土地』そのものに価値はあるのか?
2024年11月27日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
古今東西、
人は変わらず『土地』を求めてきました。
土地の価値ってほんらい、
何で決まっていたと思いますか?
わたしは【おこめ】だと思います。
『小麦』といってもよいでしょう。
ズバリ言えば、
(少しタイムスリップしますよ)
あなたは2,000年前の日本にいます。
みんな米作りに励んでいます。
そこかしこに、
いろいろな田んぼがありますが、
同じ広さの『田んぼ』でも、
「お米がたくさん取れる場所」と
「そうではない場所」があります。
(「水はけがよい・悪い」、
「陽当たりがよい・悪い」などの条件の違いによります。)
仮にAという田んぼでは、
年間 20kgの【おこめ】が取れ、
Bという田んぼでは
年間 10kgの【おこめ】しか取れないとしましょう。
(どちらも同じ広さです)
答え)Aです。
(もちろん【おこめ】を【小麦】に置き換えても同じです。)
要するに・・、
単位面積当たりで
「農作物がたくさん取れる場所」が、
代々価値のある場所 =『土地』とされてきたのです。
これこそ、土地の価値の源であり、
『収益還元法』の発想の原理でもあります。
時代は下り、
商業や工業という人間の営みが
「経済の要」になってきました。
そうすると
土地そのものというより、
人は
その土地の上に【建物】を建て、
『建物の中で』
経済活動を営むようになります。
この「パラダイムシフト」は意外と重要です。
土地の上に建つ『建物の中で』
どんな付加価値を創造できるかが、重要になってきたわけです。
鍛冶屋さんしかり、
小間物屋さんしかり、
歌舞伎の公演しかり・・。
『建物の中で』
何をやって、
どれだけ収益を得られるかが肝要。
話は急に現代に飛びます。
あなたは西武新宿線に乗って、
練馬区のとある住宅地にやって来ました。
『一戸建ての家』が並んでいます。
AとB、
まったく同時期に竣工した
ふたつの一戸建て(3階建て)を眺めているあなた。
双方の土地の広さ、
土地の形、
建坪、家の形状、内部仕様まで全て【同じ】としましょう。
ただ、違うのは
『土地の権利形態』です。
Aは土地の【所有権】の上に建物があり、
Bは【借地権】の上に建物があります。
(伝わっていますね?)
借りて住む場合に、
『賃料の違い』は発生するのでしょうか?
答え)『賃料』は変わらないでしょう。
なぜなら、あなたは
土地の上に建つ『建物』を、
借りて住まう人だからです。
あなたは(結果として)
建物の下にある『土地』も使用しますが、
併せて土地も所有しているか、あるいは借地権者なのかは、あなたにとって問題ではありません。
そう考えると、
21世紀のこんにちでは、
「土地そのものの価値って何だ?」と考え込んでしまいます。
たとえばマンションを所有する人は、
専有部分はもちろん所有していますが、
『敷地権』も所有していると(心の中で)意識したことってありますか?
司馬遼太郎氏はその著作の中で
たびたび『土地の公有制』について言及しておられます。
わたしは、建物より
土地の価格が何倍も(あるいは何十倍も)高いというのは、いつまで経っても解せないのです。
不動産の『価値』は、
土地の上に
どんなモノ(建物)が建っているか、
そして、
その建物がどれだけ「収益」をもたらしているのか。
これによって決まるのではないでしょうか。
カテゴリ:投資の発想法