株式市場は常に、揺れに、揺れています
2024年11月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今日は“揺れる”ということばにフォーカスします。
左右に揺れるというよりは、
『上下に』揺れるイメージです。
仮に今、
あなたの目の前に「揺れる度合いの測定器」があるとしましょう。
『預金』を載せてみると・・ほとんど動きません。
なぜなら、
預金という金融商品はそもそも、
価格変動の振れ幅(リスクの大きさ)がほとんどゼロであるためです。
揺れない、金融商品です。
結果、長い目で見た場合、
ほとんど(実質的に)プラスのリターンが期待できません。
いっぽうの『株式』はどうでしょう?
最初にお断りですが、
任天堂の株や、アップルの株を
1個1個「選んで」測定器に載せるわけではありません。
たとえば
「米国株式市場」の値動きをおおむね反映する、
S&P500指数という「おおむね市場全体」を測定器に載せるイメージです。
これ、数値で見ると、
けっこう“揺れている”のです。
資産運用業界ではふつう、
『標準偏差』という物差しを用いて、
その資産(投資対象)がどのくらいの大きさで“揺れているか”を数値化します。
下記それぞれ、
『オレンジ色の棒グラフ』に注目してください。
S&P500と10年物国債と3ヶ月短期国債の、
年間の“揺れる”大きさの平均値の比較です。
(1928年~2023年の標準偏差の平均値。)
画像元:20 Rules for Markets and Investing | Charlie Bilello |
当たり前なのですが、
このようにリスクの大きさを見比べると、
19.6% 7.7% 3.0%
株式インデックスファンドと
債券(国債)では、
まったく性格が異なる資産であることが分かります。
株式インデックスファンドという金融商品は、
価格変動の振れ幅(リスクの大きさ)が『けっこう大きい』のです。
「おおむね株式市場全体」= S&P500でも、19.6%と記されており、けっこう“揺れる”ことが分かります。
「カンさん。そんなの知ってるよ。」と
あなたは思われるかもしれませんが、
一点注意が必要なのは、
この標準偏差の数値(19.6%)は
ダウンサイドの大きさではない点です。
上に“揺れ”
下に“揺れる”
その『ミックス』である。
という点です。
たとえばここ最近、
S&P500指数は上昇を続けていますが、
この『上がり続ける』という現象も、
立派に
“揺れる”=「ボラティリティ」が高いことの具体的現象のひとつなのです。
ココ、伝わっていますか?
長い歴史を持つS&P500指数(おおむね市場全体)では、“揺れない”年は存在しません。
どの年でも、
規模の大きさの違いこそあれ『揺れ続けて』います。
1年間、二百数十日マーケットが開く中で、
「やったー!
1月から12月末まで、
年間トータルで振り返れば、
今年はプラス12%の成績だった」という年でも、
その年央や、
3月や、10月から11月にかけて、
平気でマイナス20%位の成績に(一時的には)なっていたよ。ということが、ざらにあります。
あなたが対峙する
『株式市場』というところは、揺れて、揺れて、揺れ続ける生き物なのです。
毎年、毎年の中で、
一時的にせよ、
どれくらい市場全体(S&P500)が下落してきたか、
いわゆるIntra-yearの中での、各年の『最大の下落率』を表した図表が以下です(S&P500の終値ベース)
画像元:20 Rules for Markets and Investing | Charlie Bilello |
株式市場というところは
日次ベースで見れば、
『下がらなかった年などないよ』というほど、揺れる空間なのです。
繰り返しですが、
S&P500のリスクの大きさ(標準偏差)が「年19%」を超え、
しかし、
過去の結果リターンが「年率9.8%程度」というのは(1928~2023年)、
リターンの大きさが劣るという
とんでもない不利な状況であるわけです。
この、“揺れる”の衝撃を少しでも和らげるために、
長期に投資すること、
(同じ株式でも)国地域を分散させること、
さらに資産も分散させる等の「対策」が謳われているわけです。
株式市場は常に、揺れに、揺れています。
カテゴリ:投資家の感情リスク