投資信託はお金が必要になった時、売ってよいのです
2024年11月12日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
さて、突然ですが、
あなたの娘さんが
私学の理工学部に合格しました。
(おめでとうございます!)
来年3月末までには
入学金と前期授業料を納付します。
その他費用、
下宿のための諸々のお金と併せて、
計300万円のお金が必要になりました。
これをどうやって準備しますか?
たしかに普通はそうするでしょう。
今、ざっくりあなたの『ご資産状況』が、
インデックスファンド3本 2600万円
アクティブファンド2本 400万円
だとしましょう。
「割合」でいえば?
(リスク資産)投資信託 約79% です。
別に、
投資信託を一部『売却』して、300万円を用立てても良いと思いませんか。
いや、
もっと断定調でもよろしいですか。
預貯金からすべて賄おうとしないこと!
仮に預貯金からのみ
300万円を引き出すと、
リスク資産(ファンド5本) 3000万円(約86%)
というふうに、
リスク資産の『割合』が高くなってしまいます。
カロリー摂取と
安全資産:リスク資産の割合は、
自身で管理しないと、誰も代わりにしてくれません。
背中に背負う『リスク量』を維持管理していくことに他なりません。
暮らしの中で、
ある程度まとまった金額の『お金』が必要になった場合、
投資信託からも『売却』を行って資金を用立てる、この発想はたいへん重要です。
なぜなら、
投資信託というリスク資産を保有する、究極的な理由は・・『売って』現金化するためだからです。
上例でいえば、
資産配分の比率(預貯金約21%、ファンド約79%)をなるだけ崩さないよう、
そして投資信託からも資金を取り崩して300万円を用立てます。
これが「正解」です。
安全資産とリスク資産の『割合』をキープすることで初めて、同じ程度のリスク量を負い続ける = 一貫した資産管理を続ける。ことになるためです。
「えっ、でも、後期の授業料もあるし。」
「次の年も、また次の年も、大学の授業料等はかかるよ。」
はい、承知しています。
後期分も、
次の年も、また次の年の学資も、
総資産の保有割合(預貯金約21%、ファンド約79%)を極力崩さないよう、
預貯金からも、
そして投資信託からも資金を取り崩していくのです。
あなたと、あなたの家族に「必要」ですから。
あなたや、
あなたの家族を含む「だいじ事」が起こって、お金が必要になった際に、投資信託をまとまった金額『売る』ことは、ぜんぜん恥ずかしいことではありません。
また、もったいない事でもありません。
至極まっとうなことです。
学資だけではありません。
家に長年住み続ければ、
リフォームの必要も出てきます。
50代にもなれば、
親御さんも年を重ねて、
病気や介護などで予定外の出費が発生することもあるでしょう。
300万円なり、500万円なり、
はたまた1000万円が(仮に)必要になった際に、
すべて現預金から出す。
と条件反射してしまわないよう、注意しましょう。
特に50代後半以降に
上記「判断」をしてしまうと、
運用相談の現場では、
今まで真面目にコツコツ積み立て投資をしてきた人ほど、「えー、途中でファンドを解約するなんて想像できません。」
「そんなの もったいなくて踏ん切りがつきません。」
と反応される人が多いのです。
お気持ちは重々分かりますし、
上記「真面目さ」があったからこそ、ここまで投資を続けてこられたわけです。
でも、です。
人生というパノラマ風景で眺めれば、
ライフイベント上で
大きな『お金のニーズ』が生まれ、
投資信託を一部解約することで、
そのお金のニーズに応えることが出来る。
幸せなことではないでしょうか?
(ほんらい)喜ばしいこと。
また、
リタイア生活に入る前に、
暮らしのニーズに応えるため
投資信託を『売却した経験』を持っておくと、
リタイア後、本格的にファンドを取り崩していくときに、抵抗感が少なくなるというメリットもあります。
あなたは何のために
投資信託を買っているのでしょうか?
何のために
リスクを負ってお金を増やそうとしていますか?
たとえば93年間生きて
最終振り返ってみれば、
〇 有意義に使ったお金
〇 そして残ったお金
ただ、それだけです。
わたしの理想は、
有意義に使ったお金 10割
残ったお金 0割
ムダに使ったお金 0割
ですが、
まあ、これは多分ムリなので、
有意義に使ったお金 9割
残ったお金 1割
を目指しています。
誰しも(やがて)投資信託を現金化していくことが人生のプロセスなのです。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し, 投資信託あれこれ