定期的にリ・バランスを行っている個人投資家は「半数」程度?(ウォール・ストリート・ジャーナルの記事より)
2024年11月4日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事に、
『Older Investors Have a Lot of Money in Stocks. How to Check if It’s Too Much.』があります。
ちょっと意訳してみると・・、
シニア投資家、多額のお金を株式で保有。
過剰なリスクになっていないかどうかの判断法は?
となります。
フィデリティインベストメントの
2040万人の401(k)プラン加入者のデータを見ると、
60歳から69歳の約40%の加入者が、
あるいはそれ以上を『株式』で保有しているとのこと。
・・けっこうリスク取っています。
また、バンガード社によると、
定期的にリ・バランスを行っている個人投資家は「半数」程度に過ぎないのだそう。
アメリカの人たちって、
401(k)プラン等(確定拠出年金)を通じて長年『つみたて投資』を続けていて、
→結果「株式」の比率が上昇
→ますます「株式」の比率が上昇。
という形になっている人がかなり多そうです。
ちょっと具体的に想像してみましょう。
今年64歳になるベーカーさんは?
1960年生まれです。
30歳になったのは?
当時、米国の「ダウ平均」は2600ドル程度ですから、
長期投資を続けていれば、
株式の比率がどんどん大きくなるのも頷けます。
今現在、株式市場が好調だからよいものの、
〇何よりあなた(投資家)自身が年を重ねています。
「何より、あなた自身が年を重ねています。」
はい、↑ ココの部分、あなたも思い当たりませんか?
一般に、年を重ねるごとに
「リスクに対する耐性」は落ちていきます。
特に50代後半以降は顕著でしょう。
いくつなっても、
『リスク資産』の比率をずっと高く保ち続けるのは『無理』があると思いませんか?
株式市場も好調だし・・。」
と呟いて、
高い「株式比率」の現状を正当化しているあなたは、
ほんとうはすで62歳なのに、
『気持ち的』には 42歳 くらいの感覚でおられるのでは?
人間だれしも老いていきます。
これは避けられません。
年を重ねると体が衰え、
思考のリズムも(本人が気付かないうちに)緩やかになってきます。
再びWSJの記事に戻ってみましょう。
ファイナンシャルアドバイザーのバーンスタインさんのアドバイスです。
株式が暴落してその価値を半分失ったと想定してみてください。
100万ドルの資産のうち60%(60万ドル)を株式で保有していて、
それが『マイナス50%』になると30万ドルに・・。
(元本確保型の資産40万ドルと合わせても70万ドルになってしまいます。)
もしもこんなことが起こったら、
どう感じるかと想像してみましょう。
そして、果たして今の「株式比率」が
自分にふさわしいかどうかを熟考してみるのです。
なるほど・・。
仮にリタイアしてから
上記のような事態(暴落)に遭遇した場合に
元本を回復するまで果たして待てるのか、
その間、
心理的な葛藤や不安の蓄積は、
現役時代と比して過大になってしまわないか?
大いに『自問』してみる価値があるでしょう。
逆説的なのですが、
60歳になっても、
リタイアした後も、
市場に長くお金(リスク資産)を置き続けるためには、
リスク・コントロールに重きを置くことが重要です。
言い方を換えれば、
自ら簡単に実践できるリスク・コントロールの手段なのです。
またお休みのときなど、
一度自分の資産状況を洗い出してみてください。
そして、
自分が目指すべき、
〇 上記割合に比してリスク資産が多すぎる場合はバッサリ売却しましょう
バーンスタインさんも記事内でおっしゃっています。
定期的にリ・バランスを行うことは、
ほとんどの人にとって理に適っています。
1年以上待つと、ポートフォリオが目標配分から大きく離れる危険性があるためです。
ファンド価格が上昇を続けるとき、
「別に、今慌ててリ・バランスしなくてもいいじゃん」と、人は思いがちです。
逆に、
ファンド価格が下がり続けるときは、
別の意味合いで
「別に、今慌ててリ・バランスしなくてもいいじゃん」と、人は思いがちです。
いつでも、
どんなときでも、
資産運用は投資家本人の「感情リスク」との戦いなのです。
カテゴリ:ポートフォリオ運用, リタイアメント・資産の取り崩し