「楽天SCHD」楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)、わたしなら買いません
2024年11月3日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
9月に運用を開始した「楽天SCHD」、
正式名称:楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)が人気です。
YouTubeライブの中でも
何度かご質問事項として登場し、
そんなに人気なのだと再確認した次第です。
当該ファンドはすでに
純資産残高が300億円を突破しています。
(実質的な運用管理費用も年0.192%程度と低廉。)
何より、
高い結果リターンに注目が集まっているようです。
が、
わたしなら当該ファンドは買いません。
〇グロース系(成長性)の株式はほぼなし
〇保有銘柄も100社のみ
単純に、
「こんなに集中してよいの?」と疑問を感じてしまいます。
たしかに連動を目指す指数
「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100指数」は、
細かく設計されています。
10年連続配当
年間配当利回り
5年間の配当の成長率からランク付けした、
米国株式の上位100銘柄を組み入れるという『方針』を堅持しています。
また、
当該ファンドの実質の投資先である
「シュワブU.S. Dividend Equity ETF」(SCHD)の『増配率』を見ても、過去10年プラス10%を超えています。
が、しかし、
他の米国高配当株ファンド(or ETF)と共通しますが、
『配当利回り』の高さを重視するため、
どうしても、
Industrials(資本財・サービス)の「比率」が高くなります。
Financial(金融)や
Energy関連(エネルギー)もそこそこ高いのが通常。
逆に、
Information Technology(情報技術)や
Communication Services(通信サービス)などの比率は低くなってしまうのです。
例えば、
「来年リタイアするよ」という人には
この種の投資商品は
もしかするとアリかもしれませんが、
来年40歳のなる人に
到底お勧めできる商品ではありません。
グロース系(成長型)の株式を
何十年も外して投資するって、もったいなくないですか?
そして、
議論のおおもとに戻れば、
来年40歳のなるあなたが、
20年、30年後には、
世界の『株式市場』の趨勢(勢力図)も、今とはちょっと違っているかも?
と感じているなら、
わざわざ
今から
投資対象を「米国のみ」に限定する必要もないわけです。
配当利回りが高く、増配を続ける会社は世界中にありますし。
さらに言えば、
少なくとも現役時代は
組入れ銘柄の配当金を(ファンド内で)再投資してくれる商品を選んだほうが、運用効率はよくなります。
楽天SCHDの隆盛は、
株式市場があまりにも好調であるため、
・株式のリターンも欲しい
かつ、
・高配当もゲットしたい
という投資家の欲望が膨れ上がった結果の「一現象」と捉えてしまいたくなる側面があります。
また、個人的に気になるのは、
「シュワブU.S. Dividend Equity ETF」(SCHD)の売買回転率が高いことです。
画像元:「シュワブU.S. Dividend Equity ETF」(SCHD)
上図に
「Portfolio turnover rate」と記してあります。
これはSCHDというファンド内で
売買されているかという、
いわゆる銘柄の『回転率』を示す指標です。
同じシュワブの株式ETFである、
シュワブ全米株式ETF(SCHB)の「Portfolio turnover rate」と比較すると違いが明快でしょう。
画像元:シュワブ全米株式ETF(SCHB)
万一、
高配当と、高い結果リターンを両立させるために、組み入れ銘柄の入れ替えが活発になるようであれば、
それはそのまま『取引コスト』の増加につながります。
実際、以下3つのパターンで
『上位組入れ10銘柄』を調べてみたのですが、
そこそこ変動がありました。
まず、
24年8月末時点での
楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)自体の「上位組入れ10銘柄」
画像元:楽天証券
続いて、9月末時点の
シュワブU.S. Dividend Equity ETF(SCHD)の
「上位組入れ10銘柄」
画像元:Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)
そして、
こちらは指数ベースとなりますが、
10月末の
ダウ・ジョーンズUSディビデンド100指数の「上位組入れ10銘柄」
画像元:S&P Global
あくまで私見ですが、
楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)は、投資対象として過大評価されている側面があると考えます。
カテゴリ:インデックス投資全般