NISAの歴史(実はエポックメイキングなことが2016年の12月にありました)
2024年10月30日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
本年始まった『NISA制度』は
大きな非課税限度額、
そして非課税期間の無期限化を備えており、
まさに「国民のインフラ」と呼べるものですが、(実は)ここに至るまでに10年の月日を要しています。
そもそも、なのですが、
失礼、もっと具体的に伺いましょう。
どうして 2014年に『一般NISA』(旧NISA)が誕生したのか?
それは
2013年末で、
株式・投資信託等の譲渡所得に対する
「軽減税率制度」が終了したからです。
(およそ10%の税率だったものが、
2014年からおよそ20%の税率(元の税率)に戻されたのです)
税率が上がってしまう
負のインパクトを軽減するため、
『一般NISA』(旧NISA制度)はスタートしました。
NISAは建前上、
長期の資産形成をサポートするものでしたが、
この『一般NISA』は、
〇 あらゆるタイプの金融商品を対象にしていた。
口座保有の実態は
NISA口座開設者の半数以上が60代以上に偏り、
かつ短期で取引することが常態化し、
長期投資とはほど遠い
単なる非課税の制度となってしまいました。
上記文言で ↑ お分かりかと思いますが、
単なる非課税制度ではまったく意味がないのです。
長期の資産形成を促す非課税制度となって初めて『国民の生活インフラ』になり得るわけです。
話は続きます。
次いで2016年に始まった『ジュニアNISA』(旧NISA)は、そのアイデアは斬新でしたが、
同じく『5年間』の非課税期間であり、
「長期の」視点が欠けていました。
これまでの反省も踏まえて
ようやく2018年に『つみたてNISA』(旧NISA)がスタートしたのです。
今、
スタートしたのです。
と安易に述べましたが、
キラリと光る、大きな『分岐点』になっているとわたしは考えます。
どういうことかというと、
実は2016年12月時点では、
つみたてNISAは年間の投資限度額『60万円』、
非課税期間『10 年』でほぼ決まりかけていたのです。
日経新聞も当時「記事」にしていました。
『積み立て型は10年非課税 NISA、年60万円上限』
日経新聞電子版2016年12月2日)
それを土壇場でうっちゃって、
年間の限度額『40万円』、非課税期間『20年』を財務省に認めさせたのは当時の森金融庁長官です。
非課税期間(20年)
金額ではなく、期間(20年)を重視したからこそ、つみたてNISAのポテンシャルは高まったのです。
これぞ政治家の仕事です。
この『つみたてNISA』の誕生により、
長期・分散・積立というコンセプトが世に広がり、インデックスファンドの「超低コスト化」が一気に進みました。
この、しぶとい意志の力を受け継いで、
現在の『新NISA制度』は生まれたとわたしは理解しています。
一人当たりの生涯投資枠「1800万円」
非課税期間の「無期限化」は、
まさにこの10年余りの
汗と涙の結晶なのです。
カテゴリ:NISA活用法