投資家の感情リスク

米国株式のベアマーケット(弱気相場)の履歴

2024年10月26日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

投資家は
市場平均の下落も上昇も、
どうしても『感覚』で捉えてしまいがちです。

特に、株価指数の下落は
インデックス投資家にとって
資産額の「減少」を意味するので、

センチメンタル(感傷的)になりがちです。

 

 

 

 

 

ところで
ベアマーケット(弱気相場)とは、

株価指数が直近の高値から
20%以上、下落した状態を指します。

 

定義が明快です。

 

もしも、
あなたが日本株式だけに投資をしていれば、

日経平均株価が
瞬間的にもベアマーケット(弱気相場)に接触した場合、「これは急落だ。」と呟いてもよいでしょう。

 

そう、本年8月第1週の「下げ」です。

 

 

ところが
S&P500(米国株式)で見ても、
MSCI全世界株式指数(全世界株式)で見ても、

今年8月第1週の「下げ」は、

直近の高値から
20%以上下落した状態にはなっていませんでした。

 

「せいぜい10%前後の『調整』だった。」
という客観的な理解はたいへん重要です。

 

 

 

 

 

なぜなら
ちょっと鼻水が出ただけで、
「あっ、タイヘン!わたしインフルエンザ!!」と慌てるようでは、

ほんとうにインフルエンザに罹患した際に、どんな心境になるのか、先が思いやられるためです。

 

 

今年8月第一週の『調整』局面において、

※『調整』局面とは
直近の高値から10%程度までの下落を指します。

 

同現象を
「暴落!」とか、
「令和のブラックマンデー!」と形容していた

「SNS」「メディア」の雰囲気はちょっと異常だなぁ・・とわたしは感じています。

 

 

 

 

 

繰り返しですが、

資産運用業界でいうところの
ベアマーケット(弱気相場)とは、

株価指数が直近の高値から
20%以上下落した状態のこと。

 

 

以下に、
S&P500指数(米国株式)の
過去のベアマーケット(弱気相場)の履歴を挙げてみましょう。

 

 

 

 

画像元:20 Rules for Markets and Investing | Charlie Bilello |

 

 

2022年
2020年
2018年 と、

直近6年で『3度』もベアマーケット(弱気相場)を経験している米国市場。

 

私たち個人投資家は、

 

『株価指数』が直近の高値から
20%以上下落することって、ときどきあるんだ。

 

という現実認識を持つことが重要でしょう。

 

 

ちなみに、

 

 

 

画像元:20 Rules for Markets and Investing | Charlie Bilello |

 

左側「縦欄」↑ の
Length of Bear Market(Months)とは、

ベアマーケット(弱気相場)が続いた『月数』を示しています。

 

よーく見てみてください。

ひとつのことが分かります。

 

それは、


一つとして同じベアマーケット(弱気相場)はない。

 

ということ。

 

裏を返せば、

株式市場においては、
一つとして同じブルマーケット(強気相場)も存在しません。

 

Every time is different

なのです。

 

 

 

 

 

たとえば、
2022年のベアマーケット(弱気相場)が進行中に、
半年ちょっとのチャートを見ただけで、

 

「ああ、今回の『弱気相場』は1980~82年の、あのパターンに似ているよね」なんて、軽々しくは言えないわけです。

 

 

株式市場は現在進行形のドラマ。

 

 

次の章で何が(どんなふうに)起こるかは分かりません。

また、過去の典型的な展開を振り返って、
「今回も同じ韻を踏むだろう。」と早合点するのも危険です。

 

マーケットというところは基本、
『転がる石のように。』なのです。

 

 

F・L・アレンの名著「オンリー・イエスタデイ」から引用しておきましょう。

 

時の流れはしばしば同じ道筋を取るが、
それはいつも新しい方向に進んでいく。

 

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