統合から分断の時代へ
2024年10月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ちょっと古い話で恐縮です。
1987年にはじめてアメリカに行った時、
わたしの『韓国』のパスポートには
次のような記載(英語)がありました。
下記に掲げる国には渡航することができない。
北朝鮮、ソ連、中国、モンゴル、東ドイツ、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ユーゴスラビア、アフガニスタン、キューバなど。
※注 あくまで韓国人のケース(1987年当時)です。
当時は東西冷戦の末期でした。
ほんとうに世界の東と西で
「分厚い壁」が出来ていたのです。
にわかに信じられないかもしれませんが、
自国民が海外に旅行すること自体、
禁止している国は(今でも)たくさん存在します。
(なので、)
日本って恵まれているのですよ。
若い人は海外旅行に出掛けましょう!
という呼びかけが
この記事の目的ではありません。
わたしがココで言いたいのは、
「行かない」ということと、
そもそも海外に行ける自由がなくて「行けない」。
この2つに間には大きな違いがあります、ということです。
自国民が海外に旅行することを
禁止している国の話に戻りましょう。
こういう国では、
「人」が
国の外に出られないわけですから、
当然、外には出せません。
どんな種類の『資産』を持てるかについても厳しい制約があります。
たとえば、
一部の例外を除いて「外貨」が持てない。
海外の株式、海外の債券、海外の不動産なども保有できない。
そういう人たちに保有できるものとは?
自国の通貨。
自国の通貨建てのリスク資産だけです。
ほかに選択肢がないわけです。
(いっぽう)あなたは選択肢を持っています。
実のところ、
行きたい国に行ける自由があってはじめて、
投資したい国に投資できる自由が芽生えます。
『オルカン』などに投資が出来ること自体、とても恵まれているのですね。
ところで、この30年余り、自国民が海外に旅行することを許可する国が一挙に増えました。
世界の「垣根」は広範囲で低くなり、グローバル経済が深化したおかげでたくさんの人が恩恵を受けました。
そんな時代(30年~50年スパンで見たトレンド)も終わりを告げようとしています。
中露を中心に
グローバルサウスが一大勢力を成し、
衰えゆく欧米諸国と、少なくとも経済力においては拮抗しようとしています。
キーワードは『脱ドル』です。
赤白、異なる類のパワーが相対すると、世の中に緊張とコストを生みます。
パワーの歪み、そして分断化の兆しとして、実際、国同士の争い(戦争)が起き始めています。
しがない一個人としては、
時代が混迷の度を増しているから、
すべての資産を日本円(貯金)で持っておくとは、言い換えれば、
時代が混迷する可能性があるからこそ、
(資産運用の自由が日本にはあるのですから、)なるだけ国や地域をばらけさせ、リスク資産を保有し続ける。
『混迷する』とは・・、
政治的、経済的に
どのようにパワー・オブ・バランスが変遷していくかが読みにくい。
ということですから、
『分散投資』の必要性がより高まる、ということなのです。