株式市場との付き合い方
2024年10月22日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
よく
”投資で儲ける”という言い方をします。
「もうける」という言葉には、
投資家自身の判断と取捨選択によって、
あなた(投資家)自身の『技量』によってお金を増やしたよ。というニュアンスがあります。
ところが、
長年投資をしてきた一個人(わたし)からすると、
投資で「もうけた」というより、
A「もうける」
B「もうかる」
なんだか日本語の授業みたいなのですが、AとBの表現の違いは重要です。
A「もうける」
B「もうかる」
Aは主体的。
Bは受動的、かつ傍観者的です。
結論から先に言いましょう。
あなたが
仮に投資のビギナーで、
これから長く投資を続け、
そしてある程度満足できる累積リターン(勿論プラスの)を得たいと願っているなら、
発想のしかたとしては、
A「もうける」×
B「もうかる」〇
と捉えたほうが良いと思います。
Aを志向することは、
あなたが
投資というバトルの中で主人公を張っており、
文字通り株式マーケットと対峙し、
そして市場のさまざまな動きから、
マーケットの心のうち、
『意思』を読み取ることができる・・、
そしてワタシはそこから
賢明な判断・選択をするのだという「世界観」を持つことに他なりません。
ドラマにすれば、
上記は面白いかもしれませんが、
A「もうける」の思考法では、
長期である程度満足できる累積リターンを得ることはたいへん難しいと言わざるを得ません。
なぜなら、
A「もうける」の世界観では、
あなた(投資家)が自信過剰になりやすく、
その結果、
投資商品を持ち続けるのではなく、
しばしば(投資商品を)取引する傾向が強くなるためです。
言い換えれば、
『取引過多』を解消することにあります。
たしかに面白くはないでしょう。
わたしは25年余り、
投資信託を通じて
『株式市場』と付き合いを持っています。
この、モンスター(株式市場)は、
一見、話が通じそうで、
フレンドリーな友だちになれそうな気がするものです。
しかしその実、
『株式市場』は二重人格です。
性格が読み切れず、
知人としては付き合いづらく、
「この人とは到底分かり合えそうにないなぁ・・」
くらいに
初めのうちから思っておいたほうが賢明でしょう。
長きにわたって投資を続け、
そこからある程度満足できる累積リターンを得られるかどうかは、
あなたの、
(株式市場に対する)
『初期設定のしかた』にかかっているのです。
冷酷無比です、
たとえ、あなたの気持ちや意思をそこにぶつけたとしても、のれんに腕押しで、程よい反応はありません。
―かりに程よい反応があったと感じても、それは単なる「偶然」です。―
そんな初期設定を、
こころの中でしておいたほうが無難でしょう。
この異界は人間の欲望と恐怖が渦巻き、
9割くらいはグロテスクなのですが、
1割くらいの部分で
―あくまで20年超の長期で見た場合ですが、―
頑なで確かな『慣性の法則』を有しています。
それは・・・、
超長期では右肩上がりで成長を続けている。
という事実です。
9割の、マーケットの『狂気』の部分は避けながら、
この、1割部分の「特性」のみに注目して、
受動的
かつ、傍観者的に、
個々の株式をピックアップするのではなく、
マーケット全体を縮小コピーするような投資商品を選んで、自ら市場の片隅に居続ける・・。
このような『戦略』をとることが、株式市場との付き合い方となるでしょう。
カテゴリ:投資家の感情リスク