利が乗ってきた新NISAのファンド、売りたくなっている人いませんか?
2024年10月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資を長年していて、
「良かった年」というのは大抵覚えています。
2006年、2007年の半ばくらいまでは歓喜しましたし、
2014年、2017年も好調でした。
コロナ禍に入って2021年の相場にも狂喜しましたし、
去年(23年)もそして今年も
マーケットはすこぶる好調です。
(たとえば『新NISA』に限っていえば、)すでに何十万円も「含み益」が出ている人がいて、
「カンさん、
わたしの投資信託どうしましょう?」
「一度売ったほうがよいのでは?」
みたいに感じている人が、
特に『投資ビギナーの人』の中では(そこそこ)おられるかもしれません。
株式市場が上昇し、
自分の運用利益が(自分の月給くらいに)積み上がると、
人によってはそれだけで「そわそわ」してしまうものなのです。
だって儲かっているのですから!
せっかくこれだけ『利益』が積み上がったのに、
仮に、来週からちょっと下落基調になり、『利益』の数字が(今より)少なくなっていったら・・と妄想し始めると、
まさに今、
という悪魔の声が囁くのです。
別に、
NISA口座での運用資産216万円(仮の話)、全部ではないのですよ。
『含み益』が20万円あるなら、
NISA口座でファンドを売るのはすぐに出来ます。
(痛くも痒くもありません。)
もちろん「儲けを確定させたい!」という衝動はすごく分かるのですが、NISAでの資産運用を『マラソン』に例えると、
まだ、
42.195キロの、
最初の「2キロ地点」くらいではないでしょうか?
仮に、ほんとうに
20万円だけファンドを売ると、
NISA口座ですから、
NISA口座の外にお金が払い出されて『20万円』が戻ってきます。
※ファンドに解約時の手数料「信託財産留保額」がない場合
さて、
「このお金、どうされますか?」
・旅行にでも行きます
・美味しいモノでも食べます
・とりあえずそのままにしておきます
・んー、またつみたて投資をします
という人も、中にはいるかもしれません。
何にお金を使うかが
明確であれば、
小さな利益を確認しつつ、
ファンドを一部売るのはアリだと思います。
が、それが「クセ」になってしまうと、あなたは『小さな実り』をちょこちょこ刈り取るファーマー(農夫)になってしまうかもしれません。
せっかくNISAという非課税の『箱』を用いているわけですから、
どうせなら「大きな利益」を確認しつつ、ファンドを売る、
つまり、
『大きな実り』を刈り取るファーマー(農夫)になったほうがよいと思いませんか?
※わたしがイメージする「大きな実り」とは1000万円超の【利益】を有する状態を指します。
ちなみに、
NISA制度の「投資枠の復活」ですが、
上例のように、
「20万円だけファンド」を解約して、
そのうち「5万円が利益」だったとしたら、
15万円が元本部分なので、
投資枠として復活するのは『15万円のみ』です。
しかも、
NISAはまだ始まったばかりであり、
仮に最速で
今年(2024年)360万円入金する人でも、
さらに来年以降
2025年~28年まで、
最速で入金をし続けても、
生涯投資枠(1800万円)そのものを入金するのに、最短でも2028年までかかるわけです。
上述の『15万円分の投資枠』が復活するのは、2029年以降ということになります。
正直申し上げて、
投資を始めて間もない頃は、
10万円とか20万円とかの「含み益」が出て、ドキドキするのは仕方ないと思います。
ただ、
このドキドキ感は、
今が人生の中で MAX かもしれません。
(投資に限らず)人はあらゆる物事に少しずつ『慣れていく』生き物であるためです。
今はちょっと信じられないかもしれませんが、
そのうち、
NISA口座で100万円とか200万円とかの「含み益」を見ても、あまり何も感じなくなる日が来ます。
なんなら、
自分の口座で1000万円とか2000万円とかの「含み益」を見ても、
「10月なのに今日はやけに肌寒いなぁ・・」くらいにしか感じなくなる日が来るでしょう。
結局のところ、
『含み益』が日々変動する事実にも、一投資家として、少しずつ慣れていくしかありません。
繰り返しですが、
投資初心者の人が『利益の数字』を見てどぎまぎしてしまう、その心の揺れの大きさは、おそらく今が MAX です。