「個別株よりインデックスファンドのほうが儲かるからこっちでいいや。」的な状況について
2024年10月12日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
『個別株もやったけど、
インデックスファンドのほうが成績がよいので、もう個別株はなしで。」
みたいな言説を
この1、2年、あちこちで見聞きします。
つい先日も
以下のようなポストを見付けました。
ふとオルカンを見に行ったら年初来+23.1%であった。株クラでこれを上回っている人は2~3割ってとこだろうしTOPIXでも+14.5%あるんだから個別株なんてやる意味あるのか、こんなのギャンブル中毒者と株オタクが血を吐きながらやるものであってまともな人は寄りつかないほうがよいという思いを新たにした
— 駄犬 (@daken_in_market) October 10, 2024
ハイ、実感がこもっています。
そういう意味では(もちろん)嬉しいです。
わたしなどは個人的に特にうれしい。
でも、
「個別株もやったけど、
インデックスファンドのほうが成績がよいので・・」の部分に、
(これって)あまりよくない状況では?
と思ってしまう自分もいます。
「個別株もやったけど、
イ・ファンドのほうが成績がよいので・・」の部分は、
ご本人が、
『個別株式の銘柄を選ぶのが得意でない。』
という個別な話としては受け取っていません。
わたしの意は、
この1、2年のマーケット状況では、
けっこう普遍的に
「個別株もやったけど
インデックスファンドのほうが成績がよい」という傾向がある。ということなのです。
個人的な心境を吐露すると、
なんだか、
【主客】が転倒しています。
アメリカのS&P500指数を例に挙げますが、
最初に「S&P500」との連動を目指す『投資対象』があって、あとから個別株式が付いてくるわけではありません。
株式市場では
良いも悪いも、
(まずは)実にさまざまの『個別株式』があって(それらが『主役』であって)、
多種多様な企業の、
多種多様な事業活動があり、
すごく株価が上がったり(下がったり)
いろいろある中で、
たとえば「S&P500」との連動を目指す『投資対象』があるわけです。
ですよね?
個別株が【主】で、
「S&P500」のインデックスファンドは【従】です。
「S&P500」のインデックスファンドは、
ざっくり言って
市場の『平均』を買っているに過ぎません。
一つひとつの個別株をじっくり見ていけば、
『平均』を上回る成績を上げる企業はたくさんあるはずです。
それも、
いろいろな業種の中で
若い会社も、熟練の会社も、
時価総額が大きな会社も
時価総額が小さめの会社も、
さまざまな会社が
大いによい成績(ここでは『市場平均』を上回る株価上昇)を上げているはずなのです。
もちろん逆に、
さまざまな会社が『市場平均』を下回る成績を上げてもいますが・・。
ほんらい、S&P500という大きな鍋の中は「ごった煮」であるわけです。
でも、現実は、
S&P500に組入れられる500社の株式の成績そのものは、正規分布のように
きれいにばらけてはいません。
巨大テック系企業7社を、
マグニフィセント7と呼びますが、
S&P500の中でいえば、
この7社のみが異常によい成績を上げており、
凡庸な成績に留まっている。
これが
米国市場でこの数年来起こっていることです。
以下は昨年12月時点のポストですが、
今も状況はそれほど変わっていません。
The gap between the Magnificent 7 and the S&P 493 (remaining 493 companies) is now 63%.
— The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) December 19, 2023
This year, the Magnificent 7 is up a massive 75% while the remaining 493 companies are up just 12%.
Combined, the S&P 500 is up ~25%, more than doubling the S&P 493’s total return.
In other… pic.twitter.com/oPvdpg7TZw
ハイ、極端です。
言い方を換えれば、
「S&P500」のインデックスファンドがその実態として、
巨大テック系7社を中心とした、大きめの個別株のように株式市場に君臨しており、もはや(7社以外の)493社のどの企業を選んでも、インデックスファンドには勝てないという、主客転倒状態になっているわけです。
あのーー、
もちろん
けん引役がまったくいない、
(かつ)下落を続ける株式市場よりは何倍もよいのですよ。
しかし、
ほんらいは、
株価が5倍、10倍になるような様々な成長株を擁しながら、重厚長大な企業群も堅調に推移し、というふうに、
個人投資家がX(旧ツイッター)にポストする際は、
「個別株はスゴい。
上がる銘柄はほんとうに化けるよね。
原石いっぱいあって、とても魅力的だけど、
銘柄選択にエネルギーが要るし、ぼくは手に汗を掻きたくないので、期待リターンは随分劣るけど、インデックスファンドでいいんだ。」
みたいな文言が健全だとわたしは思ってしまうわけです。
カテゴリ:インデックス投資全般