リスク許容度とは「心が許す度合い」と「数字が許す度合い」の合作です
2024年9月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
人の気持ちは、プラスにもマイナスにも敏感に反応します。
たとえご資産が多く
経済的に余裕がある人でも、
最悪の1年に遭遇した場合、
資産の『マイナス幅』が
という人もいます。
これって、
「気持ち的に許せない。」
⇒ これが【心の許す度合い】。
実は「リスク許容度」には
もうひとつあります。
⇒ それは【数字の許す度合い】です。
たとえば1000万円相当の
投資を行っているあなたが、
最悪の1年に遭遇し
「10%のマイナス」になってしまいました。
1,000万円 ⇒ 900万円 です。
あなたは意気消沈し、
「もう自分の資産形成はダメだ・・」と思い詰めます。
【心の許す度合い】的には
明らかに限界を超えている様子・・。
しかし、
『数字の面』から俯瞰すると、
別の景色が見えてきます。
実はあなたは毎月6万円程度、
投資以外で
コンスタントにお金が残せており、
別途、保守的に見積もっても、
年50万円程度のボーナス収入(ほぼ使わない)があります。
この二つを合わせると、
恒常的にお金が残せている人、なのです。
今年はたまたま
投資の成績がマイナス100万円程度に
なってしまいましたが、
来年も、
今の生活を維持していれば
年間120万円程度、お金が残ります。
つまり「数字の面」から、
あなたの運用状況を俯瞰すれば、
年100~120万円程度の「投資のマイナス」は
充分『許容できる範囲内』なのです。
これが【数字から見た、許せる度合い】です。
実は投資の世界でしばしば語られる
「リスク許容度」とは、
【数字が許す度合い】の合作です。
例えば、
こんなふうに想像してみましょう。
あなたと、
同じ年齢で、
同じ職種で
同じ手取り収入で、
その他諸条件もまったく同じ「サトウさん」がいるとしましょう。
サトウさんとあなたは
まったく同じファンドに、
同じ金額ベースで投資をしています。
唯一の違いは
それぞれの『お金の残り方』です。
サトウさん・・年間24万円程度。
上記を見れば、
サトウさんより、
あなたのほうが
数字上で(リスクが)許せる度合いがより高いと云えます。
なぜなら、毎年残るお金が多いからです。
では、
あなたとサトウさんが、
他の条件はまったく同じで、
サトウさん・・子どもが3人
(配偶者は働いていません)
という場合、
どちらのほうが
『数字上のリスク許容度』は高いですか?
あなた、です。
あなた・・去年、
5000万円のローンを組み、
都心にマンションを購入。
サトウさん・・賃貸。
その他の条件がすべて同じであれば、
サトウさんのほうが『リスク許容度』が高いですね。
もう一つだけ。
ご両親はすでに他界。
(サトウさんは一人っ子。)
その他の諸条件がすべて同じであれば、
どちらのほうが『リスク許容度』は高いでしょう?
サトウさんです。
このように
あなたというお人の『経済的状況』は
横断的に診て、
評価されるべきものです。
カウンセリングの現場で
しばしば投資と直接関係ない『設問』が為されるのは、
あなたの、
心と数字のリスク許容度を
知ろうとする試みに他ならないのです・・。
カテゴリ:投資家の感情リスク