ブルームバーグ記事より『最後の10分間が左右する株式相場の行方、パッシブ運用拡大で鮮明』
2024年9月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
今日のゴールは?
インデックス運用(パッシブ運用)が拡大することで、
株式市場において
最後の10分間に取引が偏っちゃう。
→ これって良くないことです。
を実感していただくことです。
まずは、
「S&P500 インデックスファンド」(具体例)から始めましょう。
話を単純化するために、
あなたには
アメリカに住む『米国人』になっていただきます。
あなたは今月も
米国株式
「S&P500インデックスファンド」を積み立てます。
9月26日に
「S&P500 イ・ファンド」を1000ドル分買い付ける予定ですが、
果たして
26日の午後2時時点で
「S&P500 インデックスファンド」の価格、
つまり、
ファンドの基準価額が ← 日本風に言っています
268.5ドルとか、
270.4ドルに
確定しているでしょうか?
いいえ、
まだ確定していません。
なぜなら、
アメリカの株式市場はまだ開いていて、
取引が続行中であるためです。
S&P500 インデックスファンドの価格はいつ決まる?」
「26日の夜です。」
これは日本のインデックスファンドも同じです。
「S&P500 インデックスファンド」は
米国を代表する大企業500社の株式を組み入れます。
この500社すべての、
9月26日の株価(終値)が決定してはじめて、
26日の
「S&P500 インデックスファンド」の価格(基準価額)が確定するわけです。
えっ、
ということは・・、
仮に、ですよ、
9月25日の夜から
9月26日にかけて、
「100万ドル分」の新規購入資金が
当該ファンドに入ってきたとしましょう。
あなたは
そのファンドの「ファンドマネージャー」ですよ。
たとえば500社の株式のうち、
200社分の株式を軽々しく、
26日の午前中に買い付けるなんて出来ますか?
いや、ちょっとできないでしょう。
なぜなら、
9月26日の「終値」より
高く買ってしまう可能性があるためです。
仕事論に戻ります。
毎日毎日の
『S&P500 指数の終値』と
なるだけ同じ値動きを目指していくこと。
そのため、
プロフェッショナルである
S&P500インデックスファンドの
「ファンドマネージャー」たるあなたは、
500社の株式すべて
なるだけ『終値』、
ないし『終値に近い価格』で買い付けたいわけです。
それがインデックスファンドの仕事ですから。
・・いよいよココから「本題」です。・・
米国の株式市場が、
アニマルスピリットの塊である、
個別株嗜好者、
多数のアクティブファンドの銘柄ピッキングで溢れていた時代は、
『終値』ないし『終値に近い価格』で株式を買い付けようが、さしたる影響はなかったわけです。
しかし今は状況が大きく異なります。
ブルームバーグの記事
『最後の10分間が左右する株式相場の行方、パッシブ運用拡大で鮮明』から引用します。
アルゴリズム取引を開発する
ベストExリサーチがまとめたデータによると、
S&P500種株価指数採用銘柄の株式売買では、
全体の約3分の1が最後の10分間に執行されている。この割合は2021年の27%から上昇している。
これは驚きです。
最後の10分間に、
かくも多くの取引が為されている理由は、
株式市場全体の『売買高』に対して、
最近では、
マグニフィセント7と呼ばれる
巨大テック系企業「7社」の、
S&P500指数に占める比率が30%を超えており、
これは
インデックス運用(パッシブ運用)の巨大化と、決して無縁ではないと推測できます。
仮に、です、
インデックス運用が
株式市場での取引の『過半』を占めるような状況になれば、
株価が高い会社が恒常的に買い上げられ、さらに株価が上昇し、またその状態でインデックスファンド(含むETF)によって買い支えられるという『構図』が生まれやすくなります。
これまで市場取引の、
些末な一現象でしかなかったインデックス運用が、
市場取引の、
傾向を決定する因子になり得てしまうわけです。
マーケットにおいて、
株式の価格決定機能が正常に働くためには、
アクティブに取引をする投資主体がもっと増える必要があります。
若い頃はこんなセリフを↑書くことになるとは、
ゆめゆめ思っていませんでした。
カテゴリ:インデックス投資全般