米ドルを持っているので、米国上場のETFを買おうという発想は間違いですよ
2024年9月12日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
カンさん。
つい先日、ドル建て債券の満期がきて
お金が「ドル」で戻ってきました。
あるいは、
駐在した米国での給与が積みあがっていて、
けっこうな額の「米ドル」があります。
こういう場合、
保有するドルでETFとか買ったほうがいいですか?
フム。
あなたは日本円ではなく、
今「米ドル」を手元に持っているので、
そこに何か
『特別な意味』があるように感じてしまっているのかもしれません。
ドル建ての金融商品を買わなければいけないのでしょうか?
こんな想像をしてみましょう。
あなたは日本国内の
『公募の投資信託』を買うとき、
ふつうに「日本円」を出してそれを買っています。
このファンドも、そうです。
じゃあ、オーストラリアの人はどうでしょうか?
オーストラリアにも
たくさんの投資信託がありますが、
買うときは、
かの地の人は
『オーストラリアドル』を出して、
たとえば「アメリカ株式ファンド」を買っています。
日本人が『円』という決済通貨で
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を買っても、
オーストラリア人が
『豪ドル』という決済通貨で
「アメリカ株式ファンド」を買っても、
どちらもその中身は?
米ドル建ての株式です。
100%『ドル資産』を保有することになります。
ココ、伝わっていますか?
投資信託を買う際、
「決済通貨」は基本、
その国で使われている『通貨』ということになります。
ただ、それだけ。
あなたがたとえ「日本円」で、
「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を買っても、
ファンドを購入した瞬間に、
当該ファンドが内包する
先進国22カ国、1200社を超える株式を保有する人になります。
「100%外貨建て資産」を持つ人になるのです。
では、
シドニーに住んでいるギブソンさんはどうでしょうか?
仮に彼が『オーストラリアドル』を出して、
「先進国株式インデックスファンド」を買ったとしても、
最終的に『何を保有するか』は
あなたと同じになります。
ただ『決済通貨』が異なるだけ・・。
「米ドル」を持っているから、
米国上場のETFを買おうという発想は、
保有する通貨をもとに
『金融商品』を選んでしまうことにつながります。
もちろん、
ETFというツールが
あなたにフィットしていれば問題はないのですが、
金融商品を選ぶ際は、
仮にあなたが、
・定期的なインカム(分配金)は
特に要らないな。
・なるだけ為替の変動を気にせず、
自動積立のしくみや、
自動取り崩しのしくみを利用したい。
と思っているなら、
『道具』としては
ETFより
インデックスファンドのほうがベターでしょう。
たとえ手元に5万ドルのドル資産があっても、です。
たとえば一例ですが、
5万ドル →「円に替える」→「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)購入」で、
結局『ドル資産』を持つことになります。
くれぐれも、
保有する『通貨』を主人公にして
「金融商品」を選択してしまわないようにしましょう。
カテゴリ:インデックス投資全般