スリム米国株式(S&P500)のほうが、VOO(バンガード S&P 500 ETF)よりパフォーマンスが良くなるのですか?(お客様からの質問)
2024年9月1日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
本日のタイトル、
相談業務でしばしばいただくご質問です。
結論から言いますと、
パッと見た目、
スリム米国株式(S&P500)のほうが、VOO(バンガード S&P 500 ETF)よりパフォーマンスは良くなることもありますし、
VOO(バンガード S&P 500 ETF)のほうが、スリム米国株式(S&P500)よりパフォーマンスは良くなることもあります。
念のため、
ですが、
どちらも『箱』の中身は同じですね。
スリム米国株式(S&P500)も
VOOも、
S&P500指数を構成する、
米国の大企業500社の『株式』です。
ここから
いくつかチャートを見てまいりましょう。
VOO(バンガード S&P 500 ETF)と
S&P500指数(.SPX)の比較です。
画像元:CNBC
当然ですが、両者は
ほぼ同じ値動きになります。
ちなみに、
VOOの価格「518.04ドル」はドル建て。
S&P500指数もその数値はドルベースです。
次に、
スリム米国株式(S&P500)と
S&P500指数の比較(直近5年間)です。
画像元:ヤフーファイナンス
青の折れ線グラフのほうが、
スリム米国株式(S&P500)なのですが、
と判断するのは早合点でしょう。
続いて『直近3ヶ月』の、
スリム米国株式(S&P500)と
S&P500指数を比べてみます。
画像元:ヤフーファイナンス
スリム米国株式(S&P500)よりパフォーマンスが良くなります。
もうお気づきですね。
S&P500は
ドルベース。
スリム米国株式(S&P500)の価格は円ベース であるため、
為替レートの如何によって、
リーマンショックが起こった2008年の
S&P500指数の年間リターンを見てみましょう。
少し小さいですが「マイナス38%」と記されています。
ところが当時、
米国、もしくは米国を中心とした先進国株式に投資をしていた個人投資家(日本人)の印象は異なります。
2008年の1年間で
「マイナス50%」を超す下げだったと記憶する人が多いと思います。
実は2008年当時、
為替が『円高』に振れたため、
S&P500そのものの下落率より大きくなったわけです。
裏を返せば、
同じ規模の「暴落」が起こっても、
為替が『円安』に振れれば、
円ベースで見た「下落率」が、
S&P500そのものの下落率より小さくなるケースも出てきます。
結局日本人だから『円換算』して、自分の損益を確認するから、
スリム米国株式(S&P 500)に投資しても、
ハイ、
それはその通りです!
先ほどは、
為替で『円高』と表記しましたが、
ドル円の綱引きでいいますと、
中期的な不確定要素として上ってくるのは『ドル安』というリスクです。
トランプ氏が大統領に返り咲けば、
1985年のプラザ合意のような通貨協定を画策する可能性もゼロではないとわたしは考えます。
日本円が強くなるという意ではなく、
米国の『ドル安政策』によって、
(結果として)円高になることは、可能性のひとつとして頭の隅に置いておくべきでしょう。
カテゴリ:インデックス投資全般