確定拠出年金の60歳未満引き出しを、例外的に認めてもよいのでは?
2024年8月30日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
NISAと企業型DCを比較したご質問をよくいただきます。
多くの人にとって、
『確定拠出年金』
= 60歳になるまでお金を外に出せない。
という事実が、
同制度を積極的に利用し切れないネックになっていると感じます。
今年からNISAという
大きな税制優遇制度がスタートしたため、
確定拠出年金も
より使い勝手のよい器に改良していかないと、
加入者を安定的に増やすことが難しくなると思われます。
すでに制度開始から23年が経過するため、
そろそろ企業型、
個人型を問わず、
確定拠出年金の
60歳未満の『引き出し』について
例外的に「認める」方向に舵を切ってもよいのではないでしょうか。
アメリカの確定拠出年金(401 (k) プラン)では、
『早期引き出し』を例外的に認めています。
フィデリティ投信
【DCコラム Vol.11】コロナ禍におけるアメリカのDC加入者の対応(2020年第2四半期データから)
から引用してみましょう。
米国のルールでは、
DCからお金を引き出すと
その金額に対して所得税がかかります。
さらに、引き出し時の年齢が
59.5歳より若かった場合には、
本来の所得税に加えて10%のペナルティ税も課されます。
なるほど・・。
59.5歳より若い時点での引き出しには、
ペナルティを設けているわけですね。
逆説すれば、
〇 早期引き出しの「要件」に当てはまり、
〇「ペナルティ税」さえ支払えば、
確定拠出年金から「お金」を引き出せる。
これは運用資産の『流動性』が確保されるということでもあります。
このような例外条項を認めることによって、
iDeCoや企業型DCに対する心理的なハードルが下がることが期待できます。
実は
米国の401(k)プランでは、
その器を利用し、
積立投資を続けるだけで、
すでに多数のミリオネア(資産100万ドル超)を輩出しています。
その理由は3つ挙げられます。
1.充分な期間(米国の確定拠出年金制度開始は1978年)
2.潤沢な掛金枠(24年の年間拠出限度額は23000ドル)
※日本円で年に333.5万円、月ベースで約27.8万円
(1ドル145円換算)
3.動機付け(税の繰り延べ・雇用主のマッチング拠出)
日本でも、
掛金の限度額を(最低でも)今の2倍程度に引き上げれば、
長い目で見て、
運用資産額が1000万円、2000万円を超える人が相当数出てくるはずです。
これからもよい意味で、
NISAと確定拠出年金が切磋琢磨し、
結果として、
日本の投資環境がより良くなっていくことを願っています。
カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)