高配当株のETF、それとも無配当のインデックスファンド?
2024年8月12日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
相談業務の中でしばしば登場するトピックがあります。
それは、
『高配当株のETF』と『無配当のインデックスファンド』の比較です。
この5、6年で
VYM、SPYDをはじめとする『高配当株ETF』を保有される人がずいぶん増えました。
昔は「インカムゲイン」に興味を示すのはシニアの人でしたが、今では若い人にも広まっている投資スタイルと云えます。
インカム(定期収入)という意味合いでは、実物の不動産投資や、高配当株投資、REIT(不動産投資信託)への投資も根強い人気があります。
すでにリタイアが間近な人なら、
上記のようなリスク資産を持って、
(配当金・分配金・家賃等)を、
生活の中で用いて使うというニーズに応えられそうです。
でも、です。
まだリタイアには程遠い若い人が、「高配当株ETF」を保有してメリットがあるのでしょうか?
この場合、
→ そこからのリターン(配当)を、
すぐに暮らしの中で使っていくのでしょうか?
NO、かもしれません。
たとえば『高配当株ETF』(米国上場のものが多い)は、文字通り高めの「分配金」を希求しますから、
投資を続けると、それなりのキャッシュ(分配金)が払い出され、それが手元にどんどん貯まっていきます。
キャッシュ(米ドル等)が手元に溜まることって、投資効率的にはどうなのでしょう?
そのキャッシュはもちろん、
高配当株ETFに『再投資』するんですよ!」
えっ!?
でも(そのキャッシュを)そもそも使わないのなら、最初から配当や分配金は【要らなくないですか?】
率直に申し上げて、
資産を効率的に増やすことを目指すなら、
できるだけ無配当、無分配型の商品を選んで、資産規模を拡大させる投資(=キャピタルゲインを目指す投資)に専念すべきでしょう。
リスク資産の規模(ニワトリの大きさ)を、大きくすることです。
ココの『タマゴ』のところを、↑
外に出すのではなく、あえてニワトリ内部で『再投資』してもらい、タマゴは受け取らずに、ニワトリを大きくすることに専念するのです。
そして、時間を味方に付け、ニワトリを大きくし、
どちらかというと、
重厚長大、成熟型の企業が多いのではないでしょうか。
(安定成長型と云ってもよいでしょう・・)
今70歳の人が『高配当株ETF』を持って、そのインカムをあてにして暮らすのは(もしかすると)アリかもしれません。
60歳になったとき、
それに、
『高配当株ETF』(米国上場)から出される「分配金」は全額が利益ですから、分配金には米国で10%、その後国内で20.315%課税されます。
今、必要がないタマゴ ↑(分配金)をもらってしまうことで、
タマゴの受け取りが「1」ではなく、0.9×(約)0.8 =(約)0.72位になってしまうって『もったいなく』ないですか?
無分配型のインデックスファンドで頑張って資産を増やして、将来、インデックスファンドそのものを『部分解約』していけば、
同じ「50万円分」の(ETFの)分配金と、
インデックスファンドの売却額「50万円分」を比べた場合、
インデックスファンドであれば、「50万円分」すべてに課税がなされるわけではありません。
わたしは、若い人が高配当株を選んでしまうのは『ちぐはぐな組み合わせ』だと思います。
カテゴリ:インデックス投資全般