エヌビディアがダウ平均に採用される日
2024年8月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
『ダウ平均』という言葉を聞かない日はありません。
『ダウ平均』は
米国でもっとも有名な株価指数ですが、
「ちょっと時代遅れの指標だね」と揶揄されることもしばしば。
その規模(時価総額の大きさ)でウエイト付けせず、「単純に」30社の株価平均に基づいて指数を算出しています。
2.の悪影響は深刻です。
『ダウ平均』の構成比率として最大なのは、
ユナイテッドヘルス・グループ。
そしてゴールドマン・サックスです。
なぜかというと、
単に株価(数字)が高いためです。
逆に、
ほんらい株価指数に対して大きな影響力を持つはずの、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどの時価総額が巨大な企業群の(指数に対する)影響度が、
上記2社より小さくなっています。
そもそも
市場の実態を反映しづらいわけで、
ダウ工業株30種平均は過去の遺物だ。
と言われても仕方がありません。
あっ、上記はわたしの言葉ではなく、
ウォール・ストリート・ジャーナルがそう言っているのです。
日経平均株価も
単純平均の株価指数という点では、ダウ平均と同じ短所を持ちます。
しかし、
日経平均株価は225社に対して、
ダウ平均は(繰り返しですが)30社しか、ありません。
そんな『ダウ平均』ですが、
時代の変化を嗅ぎ取る、
ひとつの隠れた機能があるとされます。
それは・・、
ダウ平均が構成銘柄として採用すると、その後『成熟企業』に転じやすいという現象です。
前出したWSJの記事に
興味深い図表がありました。
画像元:ウォール・ストリート・ジャーナル
1979年に『ダウ平均』に採用されたIBMとメルクが(その後)低迷しているのです。
タイミングという点では、
大きな変化が起きている時に、
ダウの構成銘柄を決める「株価平均委員会」によって選ばれた株を売る、というのがこれまで賢明なやり方だった。
新たな銘柄やセクターがダウに追加されるのは遅いのが普通で、そうした銘柄に対する熱狂がピークに近づいている兆候であることが多い。
(太字はカンによる)
なるほど・・。
ただ上記の指摘は、すべての『銘柄入れ替え』のケースで当てはまるわけではありません。
1999年に
マイクロソフトとインテルが
『ダウ平均』に採用されました。
25年後、インテルの株価は当時を下回っていますが、マイクロソフトは8倍近くにまで上昇しています。
わたしが憂慮するのが「アマゾン」です。
アマゾンがダウ平均に採用されたのは(実は)今年(2024年)2月のこと。
そろそろ本日のタイトルの意味が見えてきましたね(笑)
エヌビディアが、
成長性(グロース)の高い企業であり続ける証しとは、いつまでも『ダウ平均』に採用されないということなのかもしれません。
(ちなみにアップルが「ダウ平均」に採用されたのは2015年)
率直に申し上げて、
『株価指数』という標(しるべ)のクオリティーは、ダウ平均よりS&P500が圧倒的に高いです。
それなのに『ダウ平均』のほうが知名度(影響度)が高いのは、金融業界にも大きな既得権益が存在するからなのでしょう。
カテゴリ:指数のお話